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新・おんがくの時間

様々なジャンルの音楽にあーだこーだ言うブログ。

何故清水富美加はベッキーに、KANA-BOONめしだはゲス川谷にならなかったのか

 

 

ロックンロールにはセックスとドラッグがつきものだ、という固定概念がなんとなく私の中にはある。それこそ私が高校時代に良く聴いたセックス・ピストルズのシドであったり、ロックスターは往々にしてそういったアブナイ魅力を持っているものだ。

 

ただ、それは今から40年前の海外の話だ。2017年の日本ではロックスターにそんなコンテンツは求められていない。メンバーとディズニーやユニバにて興じている姿をインスタにアップするのをファンは求めているのだ。そう、いわばロックスターはジャニーズやAKBと同じくアイドル化している。かの伝説的ロックバンド、ビートルズも大人気アイドルのような扱いを受け始めて、それを嫌がりライブ活動も控え、アイドルとは思えない風貌や素行を繰り返し、アイドルとしてのビートルズから逃避を図ろうとした。

 

それに比べて、日本のロックバンドは、どう見てもアイドル化することを否定していない。むしろ肯定しているのではないか。となると、このロックバンドのアイドル化が進んでいる時代では、セックスもドラッグも断じて許されない。これじゃあ文春もすっぱ抜く甲斐があるってもんだわ。火のないところに煙が立つ。今回は火があるところだけど…まあ、大火事です。

 

 

 

清水富美加というモンスターの出現

 

 

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さてさて、業界のお騒がせ娘である清水富美加は、なんと音楽業界にまで影響を与えてしまった。清水の自伝本である『全部、言っちゃうね。本名・清水富美加、今日、出家しまする。』において、名は伏せられていたものの人気ロックバンドとの交際、そしてそれが不倫関係だったことまで赤裸々に告白したわけである。メディアはこれに黙っておらず、すぐにその相手をKANA-BOONのベーシストめしだ飯田祐馬)だと特定。すぐにめしだ本人は謝罪文を発表した。

 

一連の報道にあった通り、私、KANA-BOONベース担当 飯田祐馬は、
既婚の身であることを隠し、清水富美加さんと交際をしておりました。

私は2014年4月に一般人女性と入籍致しました。しかし、私は、既婚の身でありながら、そのことを隠し、2015年6月から、清水さんと交際を始めました。
2015年9月に清水さんに既婚の事実を打ち明け、謝罪しましたが、清水さんに対する自分の気持ちを断ち切ることができず、妻との離婚をほのめかしつつ、2016年1月まで交際関係を続けてしまいました。
このことで、清水さんや妻を傷付けてしまったのは事実であり、その事実に誠意を持って向き合い、深く反省しております。
また、清水さんと交際していたことについて、妻と妻の両親に謝罪をし、夫婦間では解決しております。

私の軽率な行動で、清水さん、関係者のみなさまにご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ございません。
また、いつも応援してくださっているファンの皆様を悲しませてしまったことを心よりお詫び申し上げます。

2017年2月21日
KANA-BOON 飯田祐馬

 

 

若者に大人気のバンドのメンバーが起こした不祥事。そしてお相手は人気女性タレント。…あれ?デジャヴ?と思ったのは私だけだろうか。あのマッシュルームと”元気の押し売り”が頭の中にぼんやりと…名前を伏せる必要もないか笑。

 

 

思い出される、ゲス川谷問題

 

 

まだまだ記憶に新しいだろう、ゲスの極み乙女。のフロントマン川谷とタレントであるベッキーが起こした略奪愛騒動。これもまた、世間では燃えに燃えた話題である。その後も川谷は未成年飲酒を推奨したなどの問題を起こすなど話題は絶えず、一方ベッキーは着実に復帰の機会をうかがっている状況だ。とはいえ、この話題においては両者共にイメージダウンしてしまったというのが結果である。

 

先ほどもバンドマンのアイドル化なんて話をしたが、結局この川谷もそうだった。バンド自体の支持層が中高生の女子を軸としていたため、そんな火をつけたら爆発するような油の塊にマッチを放り込んでしまっては結末はご察しである。さらに、元気や清楚を売りにしていたベッキーも、今回の騒動で180度イメージが変わってしまった。まさに「両成敗」であろう。上手いこと言った。

 

 

同じように今回も「両成敗」…なのか?

 

それでは、今回の不倫騒動もこんな風に…とはならないようだ。少なくとも個人的には清水富美加の株はダダ下がりである。自分のやっていた仕事が辛かった、底から解放されたい、そのためにも今までされた仕打ちは全部言ってやる!というスタンスはまあわからなくはないけれど、自分の恋愛の話まで持ち込んでほしくはないものである。確かに不倫関係にはあり、それは良いことではないが100対0で責任がめしだにあったのかと言われると、それは甚だ疑問である。

 

清水富美加だって、もう大人だ。いくら私怨とはいえ、他人の家庭を壊しかねないような発言を平気で全国にばらまくというのは正気の沙汰とは思えない。現実としてどんな状況があったのかを鑑みるには情報が少ないし、当事者にしかわからないこともあるとは思うが、第三者視点から見ると、清水富美加のやっていることは滑稽で惨めだと思う。

 

 

では、めしだはどうだろう。不倫していたことはすでに奥さんには報告しており謝罪も済ませ、今はそのことに関して夫婦間で軋轢は無いと言い切っている。どんなにいい人だとしても、罪は罪である。ダメなことはやっちゃダメ。とはいえ、彼がどんな人物なのかをそんな知らないし、とりあえずツイッターでも見てみるか…ん?なんかリツイートが多いな。どれどれ…

 

 

 

 

か、可愛い…

 

 

なんか他のツイート見てても、悪い人には全く見えない。いや、確かにこれだけで決めつけるのはあまりにも早計ではあるが、どう考えても明らかにゲス川谷とは人格が違う。それこそ、川谷のツイートとか結構問題視されてたしね。

 

めしだも男だ。つい魔が差した…のかな。なんかどうもこの人は嫌いになれない。これはもう個人的な意見になっちゃうけど、がんばれ!めしだ!負けるな!

 

希望としては、KANA-BOONは潰れずにこのまま突っ走ってほしいですね。表面上の人間性というのも大事なものだということがよくわかる騒動でした。

 

というわけで、このブログはKANA-BOONめしださんを全力で応援します。以上。

青春をありがとう、B-DASH

 

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僕ら20代前半には少し馴染みが薄いかもしれないが、おそらく一世代上の男性なら大体知ってるこのバンド、B-DASH。1997年に結成され、メロコアブームをけん引した3人組が、20年間の活動に終止符を打った。

 

B-DASHより、皆様に大切なお知らせ~

いつも応援してくれているファンの皆様とこれまでB-DASHと関わって頂いた皆様にお知らせがあります。
B-DASHは解散します。
1997年に結成してから20年間、シングル8枚、アルバム13枚を発表し、様々なイベントやフェス等に出演させてもらいました。
ここまで活動できたのは、ライブやCD等を通じて応援してくれた一人一人の皆様、
そしてこれまでB-DASHと関わって頂いたすべての皆様のお蔭です。
言葉ではとても伝えきれませんが、心から感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました!!!!!

B-DASH GONGON / TANAMAN / ARASE

 

B-DASH公式サイトより)

 

 

 

B-DASHってどんなバンド?

 

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1990年代後半から2000年代にかけてのメロコアシーンにおいてひと際目立った存在感を放っていたのがB-DASH。この画像の中央に位置するマスコット「トニオくん」(個人的に「5億年ボタン」の漫画でこのキャラクターを見てから怖くて仕方ない)のアルバムジャケットをよく覚えている。

 

肝心の楽曲だが、非常にかっこいい。パンクまっしぐらな曲が多いのだが、いかんせんメロディが頭に入ってきやすく、一般ウケが良かったのも納得できる。ファーストアルバム「○(まる)」は、インディーズながらオリコン初登場4位を記録しており、お茶の間にまで浸透していたことがうかがえる。

 

曲によってはパンクというよりはヘヴィなハードロック調のものもあり、決して彼らの曲全てが単調にパンクばっかというわけではない。おそらく、そのころのライブハウスとかではずっとドカドカしてるだけのメロコアバンドなんて腐るほどいたんだろうから、それらとは一線を画していたのは当然だろう。

 

 

 

意味不明な歌詞が教えてくれること

 

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B-DASHの代表曲は英語で歌っているようで全く英語ではないし、ましてや日本語でもない。彼らは適当に言葉を勝手に作って歌っている。そんなんアリなのか…

 

歌詞が知りたくて歌詞カード見てみたら「なんじゃこりゃ!?」ってのがオチである。

 

おーううぇーん瞑あーらさっちゅ Way a そーれー峯圓冥
おーううぇーあーれそー円ちゅーあん Mo ーい
We spare shull feh a shuweh 医療隊マッカラ号
立派な拳法界 正方位

 

(ちょ/B-DASH

 

 

いや、こんなの分かるわけないっしょ。シンガロングが横行している現代じゃ考えられないことですよ。しかし、このバンドを聴いていた世代の知り合いが口をそろえて言うのは「歌詞なんて関係ない、楽しけりゃそれでいい」という言葉。メロコアなんて暴れてなんぼ、かっこよくて楽しけりゃ大正義なのだ。全てのバンドがそうとは限らないけれど、B-DASHは歌詞の意味の深さやメッセージ性は捨て、曲のカッコよさやライブの楽しさにステータス全振りしたバンドであるということを理解してもらいたい。

 

よく、俺も歌詞が良いっていうバンドを推すことがあるけれど、それとこれとは話が違う。だってもしバラード歌ってんのに歌詞が「立派な拳法界」だったら卵投げつけて帰りますよ。要するに、音楽のジャンルによって歌詞の在り方だって変わってくるってわけです。とはいえ、ハイスタの歌詞にはメッセージ性があるし、一概にはそんなこと言えないけどね。ただ、B-DASHが許される土壌があるのはメロコアやパンクだけでしょう。

 

 

とか言って、こんな風にでたらめな歌詞で歌ってるバンドは他のジャンルにもいました(マジかい…)。これなんかは、最初聴いてた時はマジで英語だと勘違いしてました。こちらもかっこいいのでぜひいつかブログで紹介したいですね。

 

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とにもかくにも、お疲れさまでした。

 

何にせよ、俺はB-DASHの世代ではなかったため、ライブを見たりする機会もなくそんなに大層なことは言えないのですが、20年間も同じバンドを続けているってとんでもなく凄いことだと思うんですよね。赤ん坊が社会人になるんですよ、20年間って。そう考えると、よっぽどじゃないと続けられないんだろうなと推測します。

 

俺がB-DASHや同じ世代で活躍していたスネイルランプなんかを知った時、なんというか「昔からこうやって脈々と受け継がれていって今があるんだな」とかいう古臭いジジイみたいなことを思った気がします。彼らがいなければフォーリミもワニマもいないんですよ、多分。偉大なメロコアの先輩に、お疲れ様でしたと皆さんで言いましょう。お疲れさまでした。

 

愛という憎悪…太宰治著「駈込み訴え」、読了して。

 

 

音楽、映画、お笑いに引き続き新たな分野の記事でございます。段々ネタが尽きてきたからって多方面に手を出してもいいことないぞ!なんて言わずに、良ければ聞いてやってください。まあ、「カルチャー」という都合のいい大きい受け皿があるもんですから、その皿の上に乗っている物は私のブログの守備範囲内ということにしておいてください。

 

さて、ということで初めての分野である「小説」についてのお話です。今回は「新・ぶんがくの時間」とでもいいましょうか。…なぜ突然音楽ではなく小説の話をしだしているのかについて、先に簡単に経緯をご説明します。これは単なる個人的なお話です。

 

 

 

青空文庫”をご存知だろうか

 

私は現在週5くらいでアルバイトをしている(そのせいで更新がままならないということにしておく)のですが、仕事上短期間でコロコロと場所を変えるために場所によっては通勤時間が結構長かったりするのです。電車やバスでの移動中、つい手持無沙汰になってしまう私はスマホのゲームやまとめサイトを見て暇をつぶしていました。

 

そんなある日、とあるサイトにて紹介されていた”青空文庫”というアプリに目が留まりました。なんでも、インターネット上にある「電子図書館」であるらしく、そこには著作権の切れた作品や、著者の許諾が下りている作品を無料で公開しているというのですから驚きでした。なぜ今までこんなサービスを知らなかったのかと猛省しました。

 

早速スマホでこの”青空文庫”を利用してみると、何とも使いやすいのです。ページをめくるのも簡単ですし、今何ページ目を読んでいるのかもすぐわかるあたりは普通の本を読んでいるのと変わらないし、ダウンロードさえすればいつでも読めるというのが電子版の大きな利点でしょう。

 

 

といった経緯で私は、移動時間に稀代の文豪たちが書いた小説たちを少しずつ読んでいくことを日課としました。案外これが捗るもので、短編なら1日で1つ読めてしまうあたり、読むのが止まらなくなってしまうのでちょっと困ってもいます(笑)。てなわけで、今回紹介したいのは私がこの”青空文庫”で最初に読んだ小説である太宰治著の「駈込み訴え」です。

 

 

 

太宰治とは

 

小説家としては相当に著名であると思われるので、知らない人はなかなかいないとは思いますが…簡単にだけ説明すると、戦前から戦後という激動の時代を生きた小説家であり、”無頼派”という既存の文学体制への批判的な姿勢を持ったグループのだいひょい的人物でもあります。主な作品としては走れメロス」「人間失格あたりは万人が知るところでしょうか。ちなみに彼は薬物に溺れたり自殺を図ったりなど、陰鬱な事象が事欠かない人物ではありますが、その文才に関しては他とは一線を画しており、その人物像から想像されるような退廃的な作品だけでなく、ユーモラスにあふれた作品も多く残しています。

 

今回紹介する作品もそうですが、太宰の短編作品は実に上手くまとめられていて、読みごたえも抜群にあるところが私が感心しきっているところです(まだ数作読んだだけですが)。文体も様々で、作品によって全く雰囲気が違うところが飽きない理由でもあるでしょう。

 

 

 

 

 

 

(ここから先はネタバレを含みます、ご注意を)

「駈込み訴え」

 

 

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さて、それでは本題へ。『中央公論』1940年2月号に掲載された短編小説「駈込み訴え」は太宰の口述を妻が書き写したものだと言われています。

 

あらすじとしては、あのイエス・キリストを裏切った13番目の男・イスカリオテユダの告白を疾走感あふれる独白的な文体で著した作品です。このユダはキリスト教における福音書においては完全なるヒール(悪役)として描かれている存在で、その最期も悲惨なものだったようですね。絵画「最後の晩餐」からこの男の存在を知った人も多いと思います。

 

 

私はこの小説の導入としてキリスト教関連の話であることすら何も知らずに読み進めていたので、”ヨハネ”だの”ペテロ”だのという単語が出てくるまでは、特別誰かをモチーフにしたわけではない一個人の話だと思っていました。ですが読み進めていくうちに徐々に感情移入ができ、とても読みやすかったですしリズムよく一気に読み切ることができました。

 

 

 

脆くて鋭い、人間の感情の不安定さ

 

ユダは、金目当てで祭司長たちにイエスの引き渡しを持ちかけ、銀貨三十枚を得る約束をします。その際に、彼からみたイエスという教祖ともいうべき存在の人間への感情を思いのままにぶちまけているのです(相手が祭司長なのかは不明)。

 

 

ユダはイエスを愛しています。それでいて、憎んでいるのです。この感情同士が紙一重であることは「愛憎」という熟語からもわかる通りなのですが、ユダがその狭間で揺れ動く様は美しくさえ感じます。性別を超えた心酔してしまうほどの愛というものはちょっとしたきっかけで殺してしまいたいと思うほどの憎しみへと姿を変えてしまうのです。

 

 

これは少し現代社会にはびこっている「メンヘラ」という種族の人間に似ていますね。自分の好きな人に対して嫉妬心を主とした感情から心に病を患い、純粋な愛情表現ができなくなってしまうような様は、このご時世ゴキブリの数ほど耳にします。決してユダがメンヘラだとかいう話ではないのですが、共通点としてこの「嫉妬」という感情を挙げたかったのです。

 

 

 

愛しても愛しても、愛されなければ満たされない

 

 

ユダは、イエスは決して自分を顧みてはくれなかったと独白します。慕い、愛していた存在のイエスはその愛をユダへなかなか返してはくれなかった。ユダは必死にイエスに献身するも、若い女に気移りしたり、虚勢を張ったりと、気高いはずのイエスがだんだんと卑しくみすぼらしく見えてしまい、絶望し、殺してしまおうとさえ思ってしまう。

 

果たして、もしもユダがイエスから愛されていたら、こうも簡単に憎しみに変わってしまっていたのでしょうか?正直、おそらくあの博愛を唱えるイエスがユダを全く持って愛していなかったのかと言われると、それは違うと思うのです。では、なぜユダはあそこまでイエスから愛を欲し、得られずに嫉妬や憎しみを抱いたのか。それは、ユダの愛や献身は度を超えており、それの対価としての愛は実際見込めるはずもないのに、自分が施しただけの愛を求めてしまっているからだと思うのです。

 

人は見返りを求めてしまう性質があります。「私がこれだけしたんだから、あなたもこれだけしてくれるだろう」と無意識に思ってしまうことは多々あるはずです。現代社会においても、もちろん言えることでしょう。ユダも「私が愛しただけ、イエスは愛してくれるだろう」という前提条件の上でイエスを見ていたわけです。なのに、愛を返すどころか、どんどんと自分の思ってたイエスとは異なるふるまいばかりが目についてしまう。そこでユダの愛は「嫉妬」心から歪み、”愛という憎悪”へと変化するのです。

 

 

 

裏切られたユダの”改心”

 

 

「変わり果ててしまったイエスなど見たくない」、そんな想いを抱きはじめるユダ。しかし、そんな矢先にあの「最後の晩餐」が開かれるのです。あの時、イエスは突然弟子たちの足を順番に洗っていったのですが、弟子たちは訳も分からず慌てふためきイエスにそんなことをやめるようにいう者もいました。これをユダは「イエスは弱っている、弟子にさえ縋ろうとしている」と感じ、それを哀れに思って裏切ろうとしたことを思い直しイエスに忠誠を誓おうとするのです。しかしその直後のイエスの一言で、ユダは我に返ります。

 

「みんなが潔ければいいのだが」

(駈込み訴え/太宰治

 

イエスはわかっていたのです。ユダが自分を裏切ろうとしていたことを。ユダは愛どころか疑念を持たれていたわけです。そこでユダは思い直します、殺してやろう、そして自分も死ぬのだ、と。

 

 

歪んだ愛の形

 

結局ユダは裏切りイエスを告発するわけですが、結末はさほど重要ではない気がします。やはり、対価となる愛への渇望、崇拝する存在への絶望、一度和らいだ憎しみの増幅…ユダがなぜイエスを告発するに至ったのかの壮絶な感情の揺れ動きが生々しく書かれているところがメインですし、その醜くも捉えられる愛の形を見事芸術として再表現しているのは太宰の天才であるがゆえに成せる業でしょう。

 

 

自分が愛していたままのあなたで、殺してしまいたい。畏怖さえ覚えるこの感情は、紙一重で美しくすら、思えてしまうのです。

 

2017年 月間MVP発表! ~1月編~

 

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たびたび野球を引き合いに出すブログで申し訳ありません。プロ野球の世界にはシーズン中に1か月間の成績をもとにその月のMVPを決める「月間MVP賞」というものがあります。シーズンを通して活躍できなかったとしても、短期間の活躍が表彰されるという賞なのです。ちなみにサッカーなどの競技でも取り入れられているのですが、今回はそれを音楽業界でもやってみようじゃないかという、ぶっちゃけ丸パクリ企画です。

 

色々な雑誌でも、「今月の特集」的な感じで月ごとに発売されたCDを紹介していくコーナーは必ずあると思うので、そういう雑誌見ている方はちょっと退屈かもしれませんごめんなさい(笑)。ただ、これはいつもの謳い文句ですが「あくまで個人的な意見」ですので、雑誌では全然取り上げられていなかったのがあった!なんてこともあるかもしれません。一応優越をつけてしまっている分、思い通りの結果ではないかもしれませんが、申し訳ありません。

 

ちなみに今回はORICON NEWSさん(http://www.oricon.co.jp/)の情報を参考にしています。ありがとうございます。こんなに一か月でCDが出てるなんて知らなかった…。

 

 

ということで、一応メインとしては「アルバム編」「シングル編」で分けていきたいと思います。ところで、今回この企画をやるにあたって流石に全部のCDを買うことはできないという当たり前の壁にぶつかったので、アルバムに関しては前評判や個人的な期待を含めて”オススメ”という形で紹介します。なので、これに関してはランキングとかではないです、ご了承ください。

 

シングルに関しては、動画サイトにあるものはすべて聞いてから決めます。先に言っておくと、このブログの趣旨および個人的な嗜好から、ロックバンドやインディーズなどを基軸として候補を決めているのでアイドル(たまにあるかも)や演歌、そして洋楽は含まれておりません(洋楽入れると数が膨大すぎるため)、あしからず。詳しい説明は後ほど。それでは、アルバム編から!

 

 

【アルバム編】

 

~今月の一枚~

 

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THE KIDS
Suchmos

 

発売日
2017年01月25日
発売元
SPACE SHOWER MUSIC

 

…今年に入ってインパクトが一番強かったのはやはりSuchmosだったんじゃないだろうか。前作「THE BAY」から約1年半の時を経て発表されたこのアルバムはオリコンで最高2位を記録。代表曲「STAY TUNE」がCM起用などで勢いよくバズりまくり、バンドの名前がじわじわと一般層にも染みわたってきたという、土壌が成熟してきたところでのアルバム投下は効果てきめんだったのだろう。音楽のジャンルという概念にとらわれず、確固たる地位を築き上げつつあるSuchmosは2017年の主役第一候補だ。

 

 

~ピックアップ7~

 

RegaRega

http://www.oricon.co.jp/prof/459545/products/1208480/1/

 

ONE OK ROCK 『Ambitions』

http://www.oricon.co.jp/prof/395502/products/1211540/1/

 

BRADIO 『FREEDOM』

http://www.oricon.co.jp/prof/598824/products/1207487/1/

 

Awesome City Club 『Awesome City Tracks 4』

http://www.oricon.co.jp/prof/643357/products/1212122/1/

 

SHANK 『Honesty』

http://www.oricon.co.jp/prof/431977/products/1211164/1/

 

Mrs.GREEN APPLE 『Mrs.GREEN APPLE

http://www.oricon.co.jp/prof/637558/products/1209139/1/

 

Omoinotake『so far』

http://www.oricon.co.jp/prof/687266/products/1208866/1/

 

 

総評…ここに挙げたもの以外でも、多くの人気ミュージシャンが1月にはアルバムをリリースしている。ブルエンやくるりART-SCHOOLなども軒を連ねた1月であったが話題度で言うとやはりワンオクが少し抜きんでているか。先日書いたブログでも取り上げた一連の騒動に加え、方向転換とも捉えられる楽曲が収録されているのも注目の要因だ。そのほかは、今のシーンを彩る急上昇バンドが印象的だ。セルフタイトルを発表したミセス、そのファンキーなサウンドで人気爆上げ中のBRADIO、久しぶりのアルバムリリースとなるメロコアの雄SHANKなどなど。そして、あえてその中でピックアップしたのが最後に挙げたOmoinotakeである。島根県発のピアノトリオの1stフルアルバムが遂にリリース。代表曲「Hit It Up」はその美しいメロと踊りだしてしまいそうなテンポが最高に心地よい。次世代に風穴を開けてくれるに違いないバンドなのでぜひチェックしてほしい。

 

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【シングル編】

 

選定基準…一か月のうちにリリースされたシングル作品の中から、まずは”MVP候補として10の作品を選びます。そして、その中から優秀作品を3つとMVPを1つ決めたいと思います!ちなみに、時として特別賞や優秀作品が増えることもありますが、あしからず(笑)。

 

 

~特別賞”ニューカマー枠”~

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WIDE AWAKE EP 
FIVE NEW OLD

 

発売日
2017年01月11日
発売元
TWILIGHT RECORDS

 

…選定しているときに、一番頭を悩ませたバンド。優秀作品の3つに入れるかどうか迷った挙句、紹介できないのが勿体なすぎるので特別枠を作らざるを得なかった。日本人離れした発音に加えてオシャレ感全開のサウンド。日本のバンドとは思えないような曲を聴いている感覚になった。とはいえ、彼らの音楽の根底にあるのは80年代の洋楽ポップス。それでいてあくまで日本風にテイストしなおさない辺りが、こだわりの強さなのだろうか。ここに、もっと印象的なリフやサビが付くとぐんぐん知名度が上がりそう。

 

 

 

~優秀作品~

 

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ヒカリノアトリエ

Mr.Children

 

発売日
2017年01月11日
発売元
トイズファクトリー

 

…邦楽界を長い間支え続けながらも、第一線で活躍し続けるスーパーバンド、ミスチルNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」の主題歌として人気を集めるこの曲は、国民的になじみ深い”これぞミスチル”といわんばかりの優しさと暖かさに溢れた楽曲になっている。「今日を信じて、これからも生き続けていこう」という前向きなメッセージが詰まった、ポップスの王道ともいうべき一曲がリードトラックとなっている。何も気にせず、安心して聴ける一枚。

 

 

 

 

 

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Dead End in Tokyo
MAN WITH A MISSION

 

発売日
2017年01月25日
発売元
ソニー・ミュージックレコーズ

 

 

…地上波の音楽番組への多数出演や、海外でのコンサートも好評と着実に知名度を世界レベルで上昇させているケモノ系ロックバンド、マンウィズのシングルはやっぱりストレートにかっこよかった。最近日本のエモ・ハードコア系バンドが海外の同系統のバンドに似せてきており、日本独特の雰囲気が失われつつある実態があると思うのだが、マンウィズはそんな流れの中でも海外っぽさと日本っぽさをしっかりミックスしている方だと感じた。プロデューサーにはあのFall Out Boyのギター・ボーカルであるパトリックを招き入れているため、その雰囲気はシングルの収録曲の中にもしっかり表れているし、今までのマンウィズならではの新しすぎないエモ・ロックが前面に出ている作品だ。「究極の生命体」は進化を止めることなく突き進んでいるのがよくわかる。

 

 

 

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美しい日/全部
SUPER BEAVER

 

発売日
2017年01月25日
発売元
[NOiD]

 

 

歌詞に惹かれてバンドを好きになる、というきっかけはこのバンドに関してよく耳にするかもしれない。人生を力強く応援してくれる「美しい日」と人生とは何かを教えてくれる「全部」の両A面となるシングル。バンドサウンドも小細工なしの耳にスッと入りやすい音になっていて、それが下地にあるからこそ歌詞が入ってきやすいのかもしれない。それでいて、しっかりとサビでは強い高揚感を味合わせてくれるという充実感…ライブバンドとしても高い評価を受けているのがうなずける。フロントマンの渋谷はかっこつけてるようでかっこつけていない感じや独特のワードセンス、シンプルかつ心に響くリリックが若者にウケているようで、憧れのバンドマン像として確立しつつある存在だ。シングルとしてもそうだが、バンドとしても成長するSUPER BEAVERに期待大。

 

 

 

~1月のMVP~

 

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グリーンボーイズ
グリーンボーイズ

 

発売日
2017年01月24日
発売元
エピックレコードジャパン

 

 

…ついにお前も世間の流行に負けたか、という指摘をいただくかもしれないが、全くそういう観点は度外視したうえで、MVPにさせていただいた。言わずもがな、映画「キセキ -あの日のソビト-」をきっかけに劇中にも存在する4人組ボーカルユニット(菅田将暉・横浜流星・成田凌・杉野遥亮)がそのまま実世界でもCDデビューしたというのがグリーンボーイズのなりゆきだ。正直言ってイケメンしかいないわけで(個人的には成田凌推しです)、ルックス重視で歌はそうでもないんだろ?というのが私の初見での印象だった。じゃあPVあるなら見てみるかということで、上記の「声」を視聴したところクリビツテンギョウ。普通に好みの音楽だったので…(笑)。

 

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まだ映画は見てないのだが、予告見ただけでもこの音楽は映画にぴったりはまるんだろうなっていう確信みたいなものがある。メロディはあの天下のGReeeeNなだけあってやっぱり万人受けするし、聴き馴染みもあるからすぐに受け入れられる。そして、そこに役者陣の個性が上積みされていくわけだ。決して歌がバカ上手いわけではなく、どちらかというと少し未熟な面もあるのかもしれないが、本家では見られないような表現力がPVの雰囲気からも感じ取られる。個人的にGReeeeN自体を中学生以来あまり聴いていなかったので、懐かしさと新しさが相まってとても好印象だったのがこのグリーンボーイズだ。曲はもともと既存であったものがほとんどなわけだし、そういう意味での目新しさはないものの映画との相乗効果でぐっとこの楽曲たちの良さは引き出されている気がする。少しメジャーよりな選考となったが、今回のMVPはグリーンボーイズで決定である。

 

 

~1月 MVP候補

 

MAN WITH A MISSION 『Dead End in Tokyo』

KEYTALK 『ASTRO』

SUPER BEAVER 『美しい日/全部』

グリーンボーイズ 『グリーンボーイズ』

魔法少女になり隊 『革命のマスク』

go!go!vanillas 『おはようカルチャー』

LUCCI 『ふたりを綴れば』

Mr.Children 『ヒカリノアトリエ』

FIVE NEW OLD 『WIDE AWAKE EP』

バンドじゃないもん! 『YAKIMOCHI』

 

 

 

 

いかがでしたか?

 

まとめるのにだいぶ時間がかかりました。一か月だけでこの量は凄まじい…。とはいえ、知らないバンドのいい曲を知れたり、もともと知ってたバンドの新曲を聴けるいい機会になったし、なるとおもうのでぜひ活用していただけたらなと思います!あと、この選定に対するコメントなんかもあると嬉しいです !まあ賛否両論だとは思うんですけどね…、また2月にもやる予定なのでお楽しみに!

DIALUCKにひと聴き惚れした

 

 

ガールズバンドはそれぞれの時代において、一つのシーンを作り出す力を持っている。「ロック」といえば男臭いイメージがあるなかで、それをあえて女子がフロントで演奏するという奇抜さ、そして度胸。今でこそ数えきれないほどのガールズバンドがあるが、この流れは過去の先人たちの挑戦が土台になっているのだ。

 

それこそ少年ナイフとかの話をし始めてしまったら混乱してしまう人たちも続出してしまうので、比較的最近の話だとチャットモンチーなんかがやはりガールズバンドブームの火付け役だったのかなと私は思う。そこからどんどんと後続として今なお活躍するバンドが生まれていった。それこそ赤い公園ねごと、このブログでも取り上げた”女子高生の恋愛参考書”ことSHISHAMOなどなど。

 

 

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次世代ガールズバンドの台頭

 

さて、しかし新陳代謝の早いこの業界のことである。SHISHAMOもすっかり中堅バンド感が漂う感じに成長してきているわけで、それと同時に早くも新たなニューカマーたちも次々と登場してきているのだ。

 

その中でも頭角を現しつつあるのはやはりyonigeではないだろうか。大阪出身の二人組で、代表曲「アボカド」や「さよならアイデンティー」を中心にライブシーンやyoutubeでブレイク。最近では大型フェスにもたびたび出演しており、その注目度はガールズバンドの中では一線を画していると言えるだろう。

 

 

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ガールズバンドは、嫌な話だがやはり音楽だけでなく容姿も重視されてしまうわけで、その点ではこのyonigeのボーカル牛丸はハーフの美形ときてる。ちなみに俺はベースのごっきんも好きです。

 

音楽性としてはややこしくないストレートなロックのイメージが強く、わかりやすいしかつエモい。正面から真っ向勝負を挑むがごとく、まじりっけのないサウンドでガールズバンド界に衝撃を与えた。それゆえの若干のうすっぺらさも、これまたリアルでよさげ。

 

なおかつ歌詞が生々しい。どこかで「女版マイヘア」なんて揶揄を聞いた気がするが、なるほどなあと思ってしまった。実際この曲だって、「お前私と別れたお前幸せそうだなバーカ!!アボカドドーン!!」みたいな歌である。20代のちょっとひねくれた恋愛事情をうまく歌に乗せているし、それでいてこの世代独特の一筋縄ではいかないめんどくささを表現できている音楽がyonigeの強さのひとつだろう。

 

 

 

本題です。

 

さて、前置きが長くなったが本題である。先ほど紹介したyonigeは最初PVを見たときは「あー、またこういう感じか」くらいでそんなに注目してなかったのだが、ライブを見る機会があったり、いろんな場所で耳にすることが増えてきて改めて聞いてみたらカッコいいのを再認識したバンドで、言うなればジワジワと好きになったバンドである。

 

しかし、今回紹介するバンドの曲は初めて聴いた時に「あ、これ好きだわ」と即惚れしてしまったのだ。先日観に行ったライブハウスで転換中に流れていて、あわててスマホで検索して見つけたという、本当につい最近知ったバンドなのだがぜひ皆さんにも知っていただきたい。それがこちらである。

 

 

DIALUCK

 

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なぜ私がyonigeについて先ほど話したかというと、失礼な話だがDIALUCKの説明のために引き合いにした部分がある。このバンド、DIALUCKは大阪寝屋川出身の3ピースガールズバンド。yonigeも出身は大阪寝屋川。もともと3ピースだったことを考慮すると、共通項が多い2バンドになっている。

 

しかし、音楽性はだいぶ違っている。上記の曲「セーシュン」の始まりは、不思議で少し暗い印象を持つ。そして曲が進むにつれてアンニュイでありながらも激しさを内包するギターロックへと変貌していく。ラスサビに向かっていくとともにこの曲は少しずつ形を変えていくような気がしたのだ。

 

サウンド的にはシンプルなロックなのだが、物憂げなアルペジオと自由なワードセンスで書かれた歌詞、そして私が聞き惚れた大きな一因でもあるボーカルharuの歌声が、確実に他のガールズバンドと違いを打ち出している。気だるそうに歌っているのだが、それでいてしっかり伝えたいことが伝わってくるあたりは、彼らの才能なのかもしれない。

 

 

他にはない「暗い」ロック

 

 

それこそSHISHAMOやyonigeなんかはサウンド的にも歌詞的にもどこかにポップな一面が顔をのぞかせている。ガールズバンドは個人的に明るいイメージが強くて、そのなかで最初にyonigeを見たときなんかは少し陰鬱かなと思ったのだが、DIALUCKを聴いてしまうとyonigeすら明るく見えてしまうほどだ。

 

DIALUCKが飛びぬけて暗いわけではないのだが、他のガールズバンドにはない”闇”があって、それがロックにしっかりと結びつけられている。彼女たちならではの”闇”は、聴いていてどこか親近感を覚えるというか、寄り添ってくれるというか。きれいごとだけじゃ人生は片付かないように、少し憂いがあるくらいが音楽もちょうどいいのかもしれない。

 

それにしても、なぜガールズバンドなのに根底にあるのこのような物憂げなサウンドなのか。インタビューで、DIALUCKを率いるギター・ボーカルのharuは自分の書く曲に対してのこだわりを語っていた。

 

 

ライヴ・ハウスで働いてたんですけど、「うぉー!イェーイ!」「手あげて!手あげるまでオレら帰らんで!」みたいな明るいバンドを見てるのが居心地が悪くて嫌だったんです。それはそれでいいと思いますけど、私はそれよりも絶望的に暗い方が居心地がよかった。

 

(haru/DIALUCK Vo.&Gt. http://ototoy.jp/feature/20161115123)

 

 

 

インディーズバンドのライブをよく見ていて、なおかつ同じことを思っていた人間としては「なるほど」の言葉しかないです。(笑)

 

 

 

今後に期待大!

 

私が大大大プッシュするこのDIALUCKだが、なんと今一部界隈では少し話題になっているんだとか。その理由は、重力アクションアドベンチャーGRAVITY DAZE 2』(2017年1月19日発売)というゲームの主題歌に作詞と歌で参加したharuの歌声と曲が大好評を受けているのだ。惜しくもこの曲に関してはまだ発売などは予定されていないようだが、これを機に一気にDIALUCKの名も知れ渡ること間違いなしである。今度下北沢に来るみたいなので、ぜひ足を運んでみてほしい。私も絶賛検討中である(予定とご相談中)。

 

(2分45秒から曲が流れます!)

 

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何故、山田亮一は人情を唄うのか——?音楽の未来への賞賛と反抗

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2月4日、渋谷O-Crestにてフィッシュライフ自主企画の「太平洋大作戦4」が開催された。対バンには、解散を既に発表しておりこのライブを含めて残り三本で活動を終了する或る感覚、そして毎度おなじみ私の大好きなバズマザーズが名を連ねた。フィッシュライフからすれば、大先輩の2バンドとの3マンということで相当緊張していたに違いないだろう。私はバズマザーズ目当てで行ったわけだが、他の2バンドの演奏もしっかりと見させていただいた。

 

解散を前にして他のバンドには無い覚悟を露わにした、鬼気迫る演奏を繰り広げた或る感覚。たとえ”綺麗ごと”だとしても、それに救われて音楽をやってこれたと語り、力いっぱいに音楽の楽しさを伝えてくれたフィッシュライフ。どちらも最高のライブを見せてくれたと思っているし、現に私はとても充実した。

 

 

本題。

 

さて、「またバズマザーズの話?」と思っている方もいるかもしれないが半分正解で半分間違いである。詳しくはこの先の文章を読んでから判断してほしい。

 

今日お目当てのバズマザーズのライブは、いつも通りバカテク目白押しの迫力あるステージだった。新曲「ソナチネ」を披露したり、ライブには欠かせないナンバー「ワイセツミー」「キャバレー・ナイト・ギミック」なんかもしっかりやってくれて、申し分のないライブだったわけだが…今日一番印象に残っているのは先日このブログでも紹介した新曲「傑作のジョーク」に他ならなかった。

 

 

hyena-ongaku.hatenablog.com

 

 

今日演奏した曲の中では控えめな曲調ではあるが、何度も言うようにこの楽曲はメロディや演奏よりも歌詞を読んでほしいのだ。そして、詩人・山田亮一の才能がいかんなく発揮されているこの曲をしっかりと耳に焼き付けて聴いてもらうためとも捉えられるような小話をひとつ、山田はこの日唯一のMCで静かに言い放った。

 

 

 

 

 

バズマザーズの存在証明

 

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山田は時にファンから「なぜ最近はリアルな人情や人間の生き様を主題とした歌詞を書くのか?」という質問を受けるそうだ。実際山田は実体験を参考にしたかのごとく生々しい人間の姿を歌詞に投影しているという印象は私にもあったわけで、本人曰く昔からずっとそういった歌詞を書いてきたつもりだと言うが、確かにそれは疑問となりうる話題であった。

 

ハゲよりも目立つヅラのおっさんと、ワンカップを賭けて一局打てば
お留守になった飛車を容赦なく取られ、人生待ったなしやと笑った

豹柄のトップスのオバハンが言う
「辛い時こそ人生笑うベキや。だからこの町の人間は皆、いつも笑顔や」とやっぱり笑って

 

(おー新世界/バズマザーズ

 

 

「君を愛してる」「あきらめないで 夢はかなう」、そんなありきたりな歌詞は今の邦楽にはごまんとある。そして、そんな歌詞の楽曲が売れていることも事実だ。私には少し薄っぺらいようにも感じるが、とりあえずそれらしいことを言っておけば今の若者の心には響くような仕組みになっているのだろう。そんな時代にあえて小難しい単語をリズムよく並び立てたり、ストーリー性のある簡単に理解しがたいような歌詞を書くというのはある意味現代の流れに逆らってるようにも見える。

 

 

そんな山田の書く歌詞を好む私のような輩が一定数いるのは確かだが、果たしてそんな歌詞を書くのには何らかの目的があるのか?それともただ単に山田亮一という人間の癖なのか?というところはいまいちわからなかったし、そんなことわかる術もないと思っていた。

 

しかし、ついに彼はその理由を語った。少し古臭く、懐かしいような人情溢れる個性的な歌詞を書くのには、確固たる山田の意思があってのことだった。

 

 

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時代は進み、機械が歌を歌い、歌を作るような時代になった。そして、人工知能が勝手に作詞作曲の技術を持つようになり、その作られた歌詞やメロディを人間が自ら組み合わせて誰でも音楽が簡単に作れるという世界がすぐそこまで迫ってきているのも確かだ。「そんな時代が来ることは、とても素晴らしいことだと思う」と山田は言う。

 

しかし、そんな時代が来てしまったら”個性”はどんどんと埋没していき、”感情”は失われていくだろう。人工知能というデータベースという限られた領域の中で人間は満足を覚え始めてしまう。果たしてそれは、良いことなのか悪いことなのか…その区別さえつかなくなってしまうのかもしれない。

 

そんな未来になったとして、バズマザーズはどうやって生き延びていけばいいのか。メロディの構成や、リズムパターンは容易に真似が効く。そうしてしまっては、バンドの価値はどんどんと下がっていってしまう一方だ。そんな中では、何か時代に太刀打ちできる「武器」が必須になってくるわけだ。

 

 

そう、山田の書く「歌詞」である。

 

 

窓に朝は降って来て 明日をまた強制起動
是非もなく飲む現実が 俺を「不要」と、終いに消去
ならばオズのない旅で喚き鳴らす狂想曲の
アウトロダクションの果てに消えてしまえ、お前の凶も

 

ハイエースの車窓から/バズマザーズ

 

 

 

山田の書く、人間の奥底に宿るどろどろとした心情や、人生の不条理に嘆き悲しみながらも生きながらえていく寂しくも滑稽な姿を写実的に表現した歌詞を、どうやって人工知能が真似できるのだろうか。”アウトロダクションの果てに消えてしまえ、お前の凶も”なんていう謳い文句は、紛れもなく彼にしか出せない「武器」である。

 

最近のバズマザーズの歌詞には特に、山田の個性が強く表現されているものが多いと感じている。様々な困難を経験した彼が、今になって思う「音楽の在り方」はおそらく若いころとは全く異なっているものなんだろうと、歌詞を読みながら推測する。だからこそ、時代の潮流に抗ってでもブレずに歌詞を書き続けられるんだろう。

 

 

 

そして。どんな時代になっても、バズマザーズが価値のある音楽でありつづけるために、今日も山田亮一はライブハウスで唄うのであった。

 

 

 

 

「それでは最後に、傑作のジョークをひとつ」

 

 

第一回 We are the worldで学ぶ、世界的ミュージシャンたち

 

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プロ野球では、年に一回オールスターゲームと呼ばれるお祭りが行われる。各リーグを代表する選手が、チームの枠を超え集まるという言わば夢の競演なのだ。少し前だが、鳥谷坂本の二遊間コンビは見ていてとてもワクワクした覚えがある。野球ファンじゃない人には何が何だかわからないだろうが、そこはご了承いただきたい。

 

さて、そんな夢の競演は音楽界でも行われていたのを、皆さんは知っているはずだ。そう、1985年にアメリカで発売されたWe are the worldという楽曲だ。当時の世界のポップスを代表するようなアーティストばかりを集め、アフリカの危機的な飢饉への救済としてチャリティー活動として動き出したのが、この企画である。

 

 

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最終的に6300万ドルというとんでもない売り上げを記録したこの曲だが、それに見合うレベルの豪華な顔ぶれが揃っている。ラスボスラッシュとはこのことを言う。中心人物であり、作詞作曲を担当したマイケル・ジャクソンライオネル・リッチーを含む総勢45人の著名ミュージシャンが一堂に会する機会などこの先もあるかわからない。要するに、フリーザとセルとブウが一度に…いや、あんまいい例が思いつかないのでここカットで。

 

 

 

 

皆有名!とはいえ…

 

ここまで言っておいてなんだが、正直45人全員知ってる人はそうそういない気がする。確かに、著名なアーティストが集まっているのは確かだが、それは1985年現在でのこと。今から30年以上も前のこととなると、流石に今もなお活躍し続けているミュージシャンはそこまで多くない。そうなると、若者の私たちは知り得ないようなミュージシャンがいるわけだ。「これ誰だ?」ってね。

 

 

というわけで、今回は45人全員とはいかないがソロ・パートを任されている約20名を簡単に説明していこうと思う。読んでいるあなたたちには、1985年の世界へタイムスリップしていただく。当時の音楽業界を席巻していたアーティストをおさらいして、改めて「We are the world」を聴くというのが今回の趣旨である。誰だ、めんどくさいって言ったの。構わず始めますよ!!

 

 

 

ライオネル・リッチー

 

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ひげダンスを踊りだしそうなこのおじさんこそ、全世界アルバムセールスの合計が1億枚を超えるポップスター、ライオネル・リッチーである。「We are the world」では歌い出しの1番手を務める。力がこもっているパワフルさがあるのに、どこかリラックスできるような魅力も含む、他には真似できない歌唱力、そしてインパクト溢れる顔。突然闇夜からこの人の顔が出てきたら失神する自信ある。

 

シンガーソングライターであり、なおかつ作詞作曲や編曲もこなすマルチ音楽プロデューサーである。R&Bといえばライオネル・リッチーともいえる、黒人音楽を広く世に広めた功労者でもある。娘は女優のニコール・リッチー(養子)。どうでもいいが、彼の人気は今アラブで爆発しているらしい。確かにアラブにいそうだけど…

 

 

 

ポール・サイモン

 

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髪もじゃの方じゃなくて、市役所にいそうなおじさんの方がポール・サイモンである。ユダヤ系アメリカ人で、ポピュラー音楽デュオのサイモン&ガーファンクルで一躍有名になった。この二人は1970年に発売した『明日に架ける橋 (Bridge Over Troubled Water)』が全世界で1000万枚を売り上げており、ロックの殿堂入りも果たしているスーパーデュオなのだ。その後ソロ活動も意欲的に行っており、クラシックからボサノヴァまで様々なジャンルに挑戦することをやめない音楽人である。なんと、ソロでもロックの殿堂入りを果たしているというんだから、凄まじい。

 

個人的には、サイモン&ガーファンクルは『明日に架ける橋 (Bridge Over Troubled Water)』のイメージが強すぎて、しかも表題曲が大好きだからガーファンクルのイメージがどうしても強い。なので、ポール・サイモンのソロ名義の印象が強いのだ。2016年にも新アルバムを出している彼だが、70歳を過ぎてもなお実験的な音楽を積極的に作り続ける姿はミュージシャンの鏡ともいえる。それでいて、「In A Parade」のような若々しさを保ち続けているのは、化け物としか言いようがない。

 

 

ケニー・ロジャース

 

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伝統的な音楽の集合体ともいえるジャンル、カントリーミュージックを代表する歌手がこのケニー・ロジャース。白いひげが特徴的なダンディなおじいちゃんである。カントリーと聞くと、牧場でアコギ片手に軽快に歌っているのが思い浮かぶが、彼の楽曲はどちらかというと愛を歌った叙情的なものが多い。少しハスキーな声だが、メロディと演奏が相まって、深い温かみを感じるような印象を与える。

 

上記の楽曲は、先ほど紹介したライオネル・リッチーが提供したもので、ポップチャートで全米1位を獲得している。あのおっさんマジで凄いな。もちろん、これ以外の楽曲もぜひ聴いていただきたい。個人的オススメは 「Through The Years」ですね。しっとりとしたロジャースおじいちゃんの歌声に、酔いしれよう。

 

 

 

ティナ・ターナー

 

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サムネだけでわかる。この人にケンカを売ったら間違いなくボコボコにされる(失礼)。ちなみに、正真正銘、女性である。「ロックンロールの女王」の呼び名を持つアメリカが誇る偉大なシンガー、ティナ・ターナーは時代を超えて愛される存在だ。女性とは思えないハスキーで力強い歌声、歌い方に表れている心地よいリズムの取り方は、聴いていて癖になる。まるで魂の叫びのような、生き様を現したようなその歌声で、彼女は8度ものグラミー賞受賞を果たしている。まさに「生ける伝説」の名を持つにふさわしいだろう。

 

彼女は10代の頃にデビューをしているが、本格的な成功を遂げているのは40代の頃。夫のアイクにDVを受けていたことから自殺未遂にまで至ったという彼女の半生は自伝映画として残されているので、興味がある方はそちらもぜひ。そんなどん底からカムバックできたのは、”あの”学会のおかげだというが…アメリカにまで手が及んでいるとは笑。

 

 

 

ビリー・ジョエル

 

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天才的なメロディメーカーであり、ピアニストでもあるのが日本でも人気の高いビリー・ジョエル。「ピアノマン」や上記の「オネスティ」なんかは一度は耳にしたことがあるのではないか。日本ではコマーシャルに楽曲が起用されることも少なくなかったためか、今のアラフォー世代は「オネスティ」を聴けば大多数が懐かしがること必至だろう。

 

彼の魅力は何といっても変幻自在の歌声。強さ、艶やかさ、瑞々しさ、様々な側面を持っている上に、どれもが魅力的というシンガーオブシンガーであることは間違いない。「ストレンジャー」のような危うい雰囲気を漂わせるクールな曲や、「アップタウンガール」のように軽快で楽しい曲など、ビリーの声が映える楽曲が数えきれないほどある上に、所々に他ジャンルの音楽への造詣も忘れない。これでは、いつまで経っても飽きないわけである。現代にも根強く残る彼の音楽は、今後も色褪せることなく聴き継がれていくに違いない。個人的には是非「ストレンジャー」も聴いていただきたい。あれを初めて聴いた時の衝撃は10年経った今でも忘れられない。あの歌い方をめちゃくちゃ真似していた高2の冬…。

 

 

 

今回はここまで

 

5人しか紹介していないのにえらく長くなってしまったが、またあまり期間を開けずに紹介していくつもりである。ぜひ最後までお付き合いいただけたらと思う。まだまだいる天才たちを乞うご期待。