新・おんがくの時間

様々なジャンルの音楽にあーだこーだ言うブログ。

第一回 We are the worldで学ぶ、世界的ミュージシャンたち

 

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プロ野球では、年に一回オールスターゲームと呼ばれるお祭りが行われる。各リーグを代表する選手が、チームの枠を超え集まるという言わば夢の競演なのだ。少し前だが、鳥谷坂本の二遊間コンビは見ていてとてもワクワクした覚えがある。野球ファンじゃない人には何が何だかわからないだろうが、そこはご了承いただきたい。

 

さて、そんな夢の競演は音楽界でも行われていたのを、皆さんは知っているはずだ。そう、1985年にアメリカで発売されたWe are the worldという楽曲だ。当時の世界のポップスを代表するようなアーティストばかりを集め、アフリカの危機的な飢饉への救済としてチャリティー活動として動き出したのが、この企画である。

 

 

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最終的に6300万ドルというとんでもない売り上げを記録したこの曲だが、それに見合うレベルの豪華な顔ぶれが揃っている。ラスボスラッシュとはこのことを言う。中心人物であり、作詞作曲を担当したマイケル・ジャクソンライオネル・リッチーを含む総勢45人の著名ミュージシャンが一堂に会する機会などこの先もあるかわからない。要するに、フリーザとセルとブウが一度に…いや、あんまいい例が思いつかないのでここカットで。

 

 

 

 

皆有名!とはいえ…

 

ここまで言っておいてなんだが、正直45人全員知ってる人はそうそういない気がする。確かに、著名なアーティストが集まっているのは確かだが、それは1985年現在でのこと。今から30年以上も前のこととなると、流石に今もなお活躍し続けているミュージシャンはそこまで多くない。そうなると、若者の私たちは知り得ないようなミュージシャンがいるわけだ。「これ誰だ?」ってね。

 

 

というわけで、今回は45人全員とはいかないがソロ・パートを任されている約20名を簡単に説明していこうと思う。読んでいるあなたたちには、1985年の世界へタイムスリップしていただく。当時の音楽業界を席巻していたアーティストをおさらいして、改めて「We are the world」を聴くというのが今回の趣旨である。誰だ、めんどくさいって言ったの。構わず始めますよ!!

 

 

 

ライオネル・リッチー

 

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ひげダンスを踊りだしそうなこのおじさんこそ、全世界アルバムセールスの合計が1億枚を超えるポップスター、ライオネル・リッチーである。「We are the world」では歌い出しの1番手を務める。力がこもっているパワフルさがあるのに、どこかリラックスできるような魅力も含む、他には真似できない歌唱力、そしてインパクト溢れる顔。突然闇夜からこの人の顔が出てきたら失神する自信ある。

 

シンガーソングライターであり、なおかつ作詞作曲や編曲もこなすマルチ音楽プロデューサーである。R&Bといえばライオネル・リッチーともいえる、黒人音楽を広く世に広めた功労者でもある。娘は女優のニコール・リッチー(養子)。どうでもいいが、彼の人気は今アラブで爆発しているらしい。確かにアラブにいそうだけど…

 

 

 

ポール・サイモン

 

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髪もじゃの方じゃなくて、市役所にいそうなおじさんの方がポール・サイモンである。ユダヤ系アメリカ人で、ポピュラー音楽デュオのサイモン&ガーファンクルで一躍有名になった。この二人は1970年に発売した『明日に架ける橋 (Bridge Over Troubled Water)』が全世界で1000万枚を売り上げており、ロックの殿堂入りも果たしているスーパーデュオなのだ。その後ソロ活動も意欲的に行っており、クラシックからボサノヴァまで様々なジャンルに挑戦することをやめない音楽人である。なんと、ソロでもロックの殿堂入りを果たしているというんだから、凄まじい。

 

個人的には、サイモン&ガーファンクルは『明日に架ける橋 (Bridge Over Troubled Water)』のイメージが強すぎて、しかも表題曲が大好きだからガーファンクルのイメージがどうしても強い。なので、ポール・サイモンのソロ名義の印象が強いのだ。2016年にも新アルバムを出している彼だが、70歳を過ぎてもなお実験的な音楽を積極的に作り続ける姿はミュージシャンの鏡ともいえる。それでいて、「In A Parade」のような若々しさを保ち続けているのは、化け物としか言いようがない。

 

 

ケニー・ロジャース

 

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伝統的な音楽の集合体ともいえるジャンル、カントリーミュージックを代表する歌手がこのケニー・ロジャース。白いひげが特徴的なダンディなおじいちゃんである。カントリーと聞くと、牧場でアコギ片手に軽快に歌っているのが思い浮かぶが、彼の楽曲はどちらかというと愛を歌った叙情的なものが多い。少しハスキーな声だが、メロディと演奏が相まって、深い温かみを感じるような印象を与える。

 

上記の楽曲は、先ほど紹介したライオネル・リッチーが提供したもので、ポップチャートで全米1位を獲得している。あのおっさんマジで凄いな。もちろん、これ以外の楽曲もぜひ聴いていただきたい。個人的オススメは 「Through The Years」ですね。しっとりとしたロジャースおじいちゃんの歌声に、酔いしれよう。

 

 

 

ティナ・ターナー

 

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サムネだけでわかる。この人にケンカを売ったら間違いなくボコボコにされる(失礼)。ちなみに、正真正銘、女性である。「ロックンロールの女王」の呼び名を持つアメリカが誇る偉大なシンガー、ティナ・ターナーは時代を超えて愛される存在だ。女性とは思えないハスキーで力強い歌声、歌い方に表れている心地よいリズムの取り方は、聴いていて癖になる。まるで魂の叫びのような、生き様を現したようなその歌声で、彼女は8度ものグラミー賞受賞を果たしている。まさに「生ける伝説」の名を持つにふさわしいだろう。

 

彼女は10代の頃にデビューをしているが、本格的な成功を遂げているのは40代の頃。夫のアイクにDVを受けていたことから自殺未遂にまで至ったという彼女の半生は自伝映画として残されているので、興味がある方はそちらもぜひ。そんなどん底からカムバックできたのは、”あの”学会のおかげだというが…アメリカにまで手が及んでいるとは笑。

 

 

 

ビリー・ジョエル

 

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天才的なメロディメーカーであり、ピアニストでもあるのが日本でも人気の高いビリー・ジョエル。「ピアノマン」や上記の「オネスティ」なんかは一度は耳にしたことがあるのではないか。日本ではコマーシャルに楽曲が起用されることも少なくなかったためか、今のアラフォー世代は「オネスティ」を聴けば大多数が懐かしがること必至だろう。

 

彼の魅力は何といっても変幻自在の歌声。強さ、艶やかさ、瑞々しさ、様々な側面を持っている上に、どれもが魅力的というシンガーオブシンガーであることは間違いない。「ストレンジャー」のような危うい雰囲気を漂わせるクールな曲や、「アップタウンガール」のように軽快で楽しい曲など、ビリーの声が映える楽曲が数えきれないほどある上に、所々に他ジャンルの音楽への造詣も忘れない。これでは、いつまで経っても飽きないわけである。現代にも根強く残る彼の音楽は、今後も色褪せることなく聴き継がれていくに違いない。個人的には是非「ストレンジャー」も聴いていただきたい。あれを初めて聴いた時の衝撃は10年経った今でも忘れられない。あの歌い方をめちゃくちゃ真似していた高2の冬…。

 

 

 

今回はここまで

 

5人しか紹介していないのにえらく長くなってしまったが、またあまり期間を開けずに紹介していくつもりである。ぜひ最後までお付き合いいただけたらと思う。まだまだいる天才たちを乞うご期待。

 

 

 

 

 

 

「今夜はブギーバック」に乗せて…蘇るTOKYOのカルチャー

 

 

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今の世代で渋谷系の元祖・小沢健二(以下オザケン)を知らない人は多いのかもしれない。1990年代に一世を風靡したフリッパーズ・ギターオリジナル・ラブ、ピチカート・ファイブのようなバンドを総称したのが「渋谷系」バンドであるが、意外とそこまで現代の若者は目を向けないようである。

 

とはいえ、世代ではない私も正直この「渋谷系」の定義はいまいちわからない。調べてたらノーナ・リーヴスとかも含まれるらしいし、幅広すぎて余計にわからん。ただ、これらのバンドが一つの世代を作り、音楽だけでなくファッションなどの多様なカルチャーに影響を与えたこと、そしてその名残が今でもしっかり残っていることは確かだ(特に、ファッションやデザイン界には強く残っている)。

 

 

でも、やっぱりいまいち…わからない

 

そんなこと言ったって、やっぱり昔のことはよくわからない。当時の雰囲気なんてものは私たちがわかるわけもないし、類推したところで、知ってる人たちからすれば「何を勘違いしているんだ」と鼻で笑われるのがオチである。

 

だからこそ、その時代に興味がある。自分の親世代はどんな世界で生きてきて、どんな文化に触れて育ったのだろうか、という疑問は個人的に幼い時から強く感じていたのだ。

 

 

 

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そして、2016年10月に創業40年を迎えたファッションブランド「BEAMS」が、ある動画をyoutubeに公開した。TOKYO CULTURE STORY――、1976年から2016年までの東京の文化をアーカイブするという、壮大な企画だ。40年間という私の人生の倍近い歴史を、何と5分間にぎゅぎゅぎゅっと凝縮した、とんでもない動画である。まずは、ご覧いただこう。

 

 

 

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いかがだっただろうか。

 

諸手を上げて、スタンディングオベーションである。自分が知りたかった、感じたかった歴史・雰囲気をとても簡潔でスタイリッシュに、センスあふれる構成で形にしてくれたBEAMSさんには尊敬の念しかありません。

 

まず、ファッションに関してだが、各年代を代表するようなスタイリストによる監修で、リアルな当時のファッションを再現しているわけで、所狭しと散りばめられたワードの嵐に目が追い付かないほどだ。モデルさんたちによる再現度もおそらく半端ないんだろう。知らない俺でも容易に想像がつくほどに、特徴をうまく表現している。

 

そして、肝心の音楽なのだが…小沢健二×スチャダラパーによる、日本のコラボ楽曲の先駆け今夜はブギーバック今回はスチャダラパー版のようだが)を、時代を彩った17組のミュージシャンが各々にアレンジするという豪華すぎる内容となっている。見ているうちに「え?この人も!?このバンドも!?」と驚き、感動しっぱなしのラインナップとなっている。それでは、音楽を中心に各年代に分けて簡単に解説をしていこう。(長いよ!!!!)

 

 

1976年~1980年代前半

 

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最初に登場するのはシティポップの大御所、南佳孝細野晴臣鈴木茂のティン・パン・アレイにも参加していたクールなイメージのアーティストで、今回はアコースティックギター片手にこの動画に参戦。創業当時のBEAMSのファッションを身にまとったモデルを両脇に、軽快なリズムを奏でる。

 

 

と思いきや、聞き覚えのあるアバンギャルドな歌声と共に颯爽と戸川純の登場である。「ニュー・ウェーブ」とも分類される彼女は未だにカルト的な人気を誇る80年代のポップアイコンである。とはいえ、自殺未遂のイメージからか個人的には狂気的な印象を感じる。壁に血で「皆憎」って…怖すぎ。そんな彼女の歌声に乗せて竹の子族が登場だ。この竹の子族とは、1980年代に渋谷や原宿の歩行者天国でラジカセを囲んで踊り狂ってたヒッピー野郎どもである。いやあ、えぐいね。

 

 さあ、続いてはロカビリー代表、ギターウルフが勢いよくカマすわけだが、なんだか彼らだけ古く感じないのは気のせいだろうか笑。世界を股にかけて活躍する日本ロックバンド代表の先駆けともいえるのがこのギターウルフだが、最近ベース脱退したらしいですね…。そして、ファッション界からは「DCブランドブーム」の象徴でもある、黒ずくめのカラス族。不気味だけど、個人的に黒が好きだから憧れてたりする。

 

 自分なりのセクション分けではあるが、80年代前半を締めくくるのは孤高のトランぺッターこだま和文。日本初のダブバンド(レゲエ発祥のジャンル)を結成した先駆者でもある。優しくも芯のある力強い音色の「今夜はブギーバック」も、乙なもんである。また、ここでは丁度この頃ブームを巻き起こしたウォークマンインスタントカメラが華を添えている。

 

 

 

1980年代後半~1990年代前半

 

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ここで意気揚々と画面に入り込んできたのは美魔女・森高千里。近年では積極的な音楽活動からミュージシャンとしての印象も強いのでは?「私がオバさんになっても」で大ヒットし、tofubeatsとの共演でダンスポップのイメージが強い彼女だが、キーボードやドラムも演奏できるマルチプレイヤーなこともお忘れなく。また、オシャレの代名詞ともいえる雑誌「POPEYE」を背に、渋カジと呼ばれるポロシャツ・ローファー・ジーンズといったシンプルな装いのモデルが現れる。そんな彼らが持っているのはあのゲームボーイ。カラーじゃないんだね、私がやり始めたのはカラーからだったなあ…。

 

 

打って変わって、轟音と奇怪な叫びをバックに暴れだすのは1986年結成の日本が生み出した実験的サイケデリックハードコアバンド、BOREDOMSのフロントマンEYEである。自由すぎてつかみどころのないバンドだが、世界的には私たちが思っている以上に有名であり、評価も軒並み高い。2007年のニューヨークでの77台のドラム同時演奏は鳥肌ものであるので、ぜひ見ていただきたい。もはや、これ「今夜はブギーバック」じゃないな笑。ちなみに、こんな音楽には似ても似つかぬボディコンウーマン(平野ノラを想像してください)が登場しているのだが、持っている携帯がmova…懐かしすぎる。

 

 

そして時代は90年代へ。ピチカート・ファイブの3代目ボーカリストとして名を馳せた野宮真貴が軽快なテンポでオシャレにキメてくる。ナレーターやデザイナーとしても活躍する彼女の近くに座るモデルたちは皆裏原系ファッションに身を包む。「GOODENOUGH」くらいはかろうじて知っている程度。確かTシャツ1枚6000円とかじゃなかったっけ。

 

 

 

1990年代後半~2000年代前半

 

 

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さあ、ついに私が生まれた1995年を過ぎると突然篠原ともえが独特なファッションで登場。シノラーブームの張本人であり、サブカルの代表格でもある彼女の後ろで流れているのはサイプレス上野高木完によるヒップホップ調の「今夜はブギーバック」。現代のフリースタイルダンジョンの台頭でまたリバイバルを見せているこのジャンルだが、火付け役のこの二人は欠かせないだろう。この時代も引き続き裏原系ファッションに加え、アムラー安室奈美恵のファン)やB-BOYファッション(ストリート系)が出現。さっきの「GOODENOUGH」もとうとう姿を現した。

 

 

からの、メロコア・パンクの時代へ突入。ここで登場したのは2012年に再結成した泣きメロエモバンドHUSKING BEE。ハイスタやブラフマンらと共に音楽チャートを賑わしたインディーズシーンの雄である。良くも悪くもこの世代はライブハウスを中心に回っていたとも言える。とか言ってたらガングロギャルが突然出てきて、ちょっとビビる。

 

 

またもや雰囲気打って変わってエレクトロ・テクノ系の音楽を奏でるのはSUPERCARのナカコーとフルカワミキ。個人的にはもうちょっとシューゲイザー感出して欲しかったけど、まあそこは気にしない。所謂「97の代」とも言われる化け物集団の中のひとつ、スーパーカーは当時の新世代ロックバンドとしてライブシーンで活躍した。加えて、さっきのメロコア世代とは異なり、少しオシャレなライブハウスの様子が表現されている。

 

 

 

 

2000年代後半~2010年代

 

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激しくも優しい、歌声と演奏のギャップが心地よいポストロックの代表格クラムボンと共に、時代は私たちの知りうるところまで加速していく。当時のカジュアルな装いをした若者たちだが、ここまでくるともはや見慣れてきたものである。

 

すると、途端に音楽は電子的に。もしや、と思ったがやはり初音ミクである。実際、カルチャーを語る上でニコニコ動画初音ミクボーカロイド)の登場は触れておかなければならない特記事項だ。これに付随して、エレクトロスタイルボヘミアンファッションのモデルが登場しているが、これらは今でいう”おしゃれ”となんら遜色はない気がする。てか、多分こういう人全然いる。

 

騒々しい音楽に乗せられて登場したのはももクロ…じゃなくてチームしゃちほこ(マジで一瞬見間違えた)。2010年代からと言っていい、アイドルの乱立文化は今でこそカオスな領域まで来ているが、初期の頃はまだここまで腐敗していなかったのだろうか…あんまりそこらへんは記憶にない。モー娘。がいなくなったなあ…くらいの印象しか残ってない。

 

急にシャレオツな音楽流れてきたと思ったら、tofubeats仮谷せいらの組み合わせ。インターネットをうまく利用してバズらせるのはtofubeatsが始まりだったんじゃないかな?と勝手に思っている。それにしても、彼のような新時代の音楽も、最近ではだいぶ当たり前になってきてるのが時代の経過をひしひしと感じる部分でもある。あと、ここで出てくるBOYS MIXと呼ばれるファッションでこの前の「水曜日のダウンタウン」を思い出した。「髪の短い女性は気が強い」みたいな説。実際そうやろなあ(適当)。そして、突然俺の嫌いなクラッチバッグ持った男出てきて萎える。

 

 

そして、動画の最後を飾るのはアシッドジャズでムーブメントを作り出したSuchmosから、ボーカルのYONCE。やっぱり普通に歌上手くて感心…と思ったらあっちから歩いてくるのは俳優の池松壮亮やんけ!話してるの小松菜奈やんけ!!!!どっちもアンバランススタイルと呼ばれる少しだぼっとしたファッションだが、やっぱり美男美女は何しても映えるね。小松菜奈結婚してくれ。

 

 

 

というわけで

ざっと説明してきたわけなんだけど、一ついいですか。疲れた(笑)。

 

4000文字超えたのは初めてかもしれない…でも、書いてて楽しい記事だったのが幸いだったかな。それにしても、5分にここまでの情報とセンスを詰め込むなんてプロの所業だというのが身にしみてわかった。音楽のチョイスも流石。

 

自分たちが感じ得ない時代の雰囲気を少しでも体験させてくれるような、貴重な動画でした。それでは最後に、BEAMSからのメッセージで終わりたいと思います。ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございました!お疲れ様でした!笑

 

 

 

 

Not only to reflect on the past, but to shed light on the future.
This culture continues to shape the next generation.

(過去を振り返るのではなく、新しい未来をみつけるために。
そのカルチャーは次の時代につながっている。)

What's Next?

(さあ、次はどんな時代が待っている?)

 

 

 

 

 

 

 

"平成の阿久悠”が贈る、「傑作のジョーク」

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大袈裟な話だが、私という人間を語る際に欠かせないバンドがいくつかある。その中でも重要な位置を占めている、バズマザーズというバンドを皆さんご存知だろうか?一般的な知名度はそこまで高くないと思うので、後ほど簡単な説明を入れさせていただくが、今回はこのバズマザーズが2017年3月1日にリリースする4枚目のアルバム『普通中毒』に収録されている「傑作のジョーク」という楽曲についてのレビューまがいをしようと思う。

 

この曲は、1月28日にyoutubeにPVがアップされた。そして、この記事を書いているのは1月29日である。ちょっと早すぎるレビューかもしれないが、お許しいただきたい。バズマザーズというバンド自体についてもいっぱい語りたいことはあるのだが、今回はまずこの曲の紹介を通してバズマザーズを知ってもらいたい。果たして、このバンドの表題曲となりうる曲なのかは定かではないが、語る上では必須な曲になるに違いないと私は考えている。ぜひ、バズマザーズを知っている人も知らない人も、最後までお付き合いいただきたい。

 

 

 

 

バズマザーズというバンド

 

バズマザーズは、2011年に結成されたバンドである。フロントマンであるギターボーカル担当の山田亮一は類稀なるメロディセンスと歌詞の独自性から、自他ともに”平成の阿久悠”という異名を認めている。山田亮一は2004年に3ピースバンド、ハヌマーンを結成しインディーズシーンで人気を博した過去があるため、知名度はインディーズに詳しい方の中でなら、だいぶ高いと思われる。山田はハヌマーンが2011年に活動休止、翌年に解散を発表して、本格的にバズマザーズに身を置いたという経緯がある。

 

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山田亮一が紡ぎだす音楽は、時にヒリついた焦燥感を、時に叙情的な虚しさを持っていたりする、一言では表現できないものである。そして、ハヌマーンにせよ、バズマザーズにせよ、各々それをバンド全体で見事に表現できている。エフェクターでガンガンに歪ませたギター、うねるように動き続けるベース、正確ながらも迫力と爽快さを併せ持つドラム。個々の技術に裏打ちされた楽曲のクオリティが、そこにはある。

 

ハヌマーンの頃ほどのアングラ感は無いが、未だに牙はしっかりと磨かれているこのバンド。ポップなメロディに殺人的なサウンドをはめ込む。時は経てど、バズマザーズは、山田亮一は全く衰えを見せない。

 

 

 

「傑作のジョーク」とは

 

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さて、先ほども少し紹介した通りこの楽曲は再来月リリースされるアルバムに収録されているもので、私も昨日聴いたばかりである。この曲に対する自分の感情と、SNSでの他人の評価を比較して、色々と思うことがあり記事を書いた次第である。まあ、まず一度視聴していただきたい。

 

最近になってきて、山田亮一の音楽は変化しつつある、と私は思う。ハヌマーン時代、そしてバズマザーズ初期というのは基本的に激しさや勢いが強い楽曲が多く、落ち着いた楽曲に関しても独特の物悲しさや虚しさを醸し出すような雰囲気があった。だからこそ、バンドのイメージもどちらかというと少し陰鬱な印象が先にあったのだが、現在はポップやカントリー、ラテンのような新しいジャンルの音楽の要素も取り入れた楽曲を発表している。今のバズマザーズのバンドとしてのイメージは決して暗いものではなく、むしろ明るさのほうが勝っているように思えるほどだ。

 

そんな中で公開された「傑作のジョーク」である。私はどうしても、新曲を聴くときには「殺人的な激しさがあるんだろうな~」とか「鬱っぽい曲なのかな~」とか予想してしまうクセがあるのだが、今回はまたもや良い意味でそれを裏切られた。この楽曲は今までの雰囲気も今現在の雰囲気もどちらのバズマザーズの側面も併せ持つ楽曲な気がしたのだ。

 

ミドルテンポでポップな曲調で、ギターのサウンドもいつもの様な鋭利さは影を潜めている。「ギタリスト・山田亮一」というより「ボーカリスト・山田亮一」の側面が目立つ印象だ。歌詞もまた、ひとつの物語のように読みごたえがあるものになっている。主人公の人生の虚しさが嫌というほどに伝わって、すべて聞き終わった後には充足感と虚無感が入り乱れていた。

 

山田亮一の書く歌詞というのは、歌詞というより短編小説のようなものだと捉えている。明確なメッセージ性というより、一つの筋書きの中にいくつもの感情や主張が含まれているイメージである。それの捉え方はやはり人それぞれ違うだろうが、往々にして場末の無常感を匂わせている節がある。もちろん、今回の「傑作のジョーク」の歌詞にしてもそうだ。決してただのハッピーエンドでもバッドエンドでもない、人生のリアルな様が映し出されている。

 

最後に傑作のジョークをひとつ

人生に行き詰まったある男が、精神科に救済を求めて云う

「何をしても笑えやしないのです」

「忙しない暮らしに疲れたんだね。評判の道化師を観に行くといい」

先生、お気遣いありがとう

でも、その道化師の正体は僕なんです

 

(傑作のジョーク/バズマザーズ

 

 

人間性と音楽性

 

私は、去年よくバズマザーズのライブを見に行っていた。そのうちの一つのライブに行ったとき、私は衝撃的な事実を彼らのライブMCで知ることになった。元メンバーでありマネージャーでもあった人間の横領事件。1000万という額以上に、その出来事自体にただただ驚き、その後も同じように演奏を続けた彼らを呆然と見ていることしかできなかった。

 

フロントマンである山田亮一は、ここ数年で雰囲気が変わったように思える。少なくとも、私がライブに行き始めた1.2年前からは確実に変わった。それが、その横領事件と関係しているのかは定かではないが、その前後で変化を感じたのはよく覚えている。前までは近づけない、独特なオーラを持った怖い人というイメージだったが…まあ確かに今も怖いのだが(笑)、物販で少し話した時にも感じた人間性には全くそんなオーラを感じなかった。

 

それは如実に彼の音楽にも表れていると思う。よく「丸くなった」「大人しくなった」と形容されることが多いが、私は今の山田亮一の姿がとても好きである。脇を固めるシゲマツシン、福岡”せんちょー”大資との3ショットを見ると、どことなく安心するのだ。ライブでも、MCを含めてファンを楽しませようとしている様が、私は尊敬するし、敬愛している。

 

彼らが純粋に音楽を楽しんでいる様がひしひしと伝わるような、それでいてバズマザーズらしさも失っていない…そんな一曲でもあった。彼らのこれからの快進撃の、始まりの一枚になるであろうアルバム『普通中毒』は、間違いなくオススメである。

 

俺達が彼に奪われたのは、お金じゃないよ。
「音楽家は立派な仕事である」っていう誇りと尊厳だよ。
それはもう取り戻せたから、バズマザーズは終わらないよ。
そして、もう俺達は迷いなく日本一を目指すよ。

 

(引用元:http://akuyou.exblog.jp/page/2/

 

 

 

 

最後に

 

大分まとまらず、よくわからなかったかもしれませんが、とりあえず「傑作のジョーク」は深く聴きこむべき一曲だということはしっかりと伝わっているでしょうか。PVもぜひちゃんと見てくださいね、ドラムのせんちょーさんの迫真の演技にご注目です

 

また近々ライブを見に行く予定なので、そしたらまたバズマザーズ関連の記事を書くかもしれません。やっとこのバンドのことが書けて満足してます(まだ書き足りないけど)。それでは最後に、山田さんのブログに書かれていた一言で締めたいと思います。それでは!

 

 

 

山田亮一をみくびるな。

 

(引用元:http://akuyou.exblog.jp/page/2/

 

ワンオク・takaインスタ騒動から考える、バンドにおけるファンの在り方

 

 

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今、音楽業界というかバンド業界がざわついている。きっかけは先日、人気ロックバンドのONE OK ROCKのフロントマンであるtakaInstagramに投稿した文の内容である。この記事を書いている1月26日現在もまだ投稿は残っているので、ネットで検索すれば見ることができるが、折角なので引用させていただく。

 

このままいったらちょっと我慢の限界を迎えそうだから書かせてね。
最近、日本のファンに対して、、ちょっとどう接していいかわからなくなってきちゃった。
朝疲れた状態でバスから降りればそこには日本人が携帯片手にまるでポケモンみつけたみたいに動画やら写真やらパシャパシャ撮られて
みんな毎日ちょっとシンドイ思いしてます。

御飯もゆっくり食べれない。外の空気もろくに吸えない。ライブがはじまれば最前列はいつも同じ景色。。。日本人同士なのにわかってくれないのかなって、、、、
そりゃ、、気持ちはね、、、わかるよ!
楽しいだろうし。近くでみれて嬉しいだろうし。
でもね。俺らも人間だからさ、、、
限度ってものがあると思うんだよね。
なんのために海外で毎日頑張ってるのかわからなくなっちゃうし、ルールなんか作りたくないからもう少し考えてほしい。。。僕らが海外でライブをする意味を!

普段会えないから会いに行く場所ではないから!まぁ色々これみて思うことあるかもだけど、僕らはこんな文章を書きたくなるくらい今正直凹んでます。

 

(引用元:Taka (@10969taka) • Instagram photos and videos

 

 

とまあ、結構な長さで書かれたtakaの声明文。この投稿が為されてからたちまちネット上で話題が広まり、今では2万件を超えるコメントが寄せられている。2017年に入って、バンド業界では初めての大きなボヤ騒ぎかもしれない。

 

…というか、果たしてこの文の何が一体問題視されているのか?この騒動を紐解いていくと、今現在のバンドやライブシーンにおけるファンの在り方という問題が浮かび上がってきた。個人的な見解も交えて、この騒動について話していきたいと思う。

 

 

 

 

吐露してしまった、モンスターバンドのフロントマンとしての苦悩

 

ONE OK ROCK(以下ワンオク)といえば、言わずもがな日本のロックバンド界のヒエラルキーで最上位に位置している超売れっ子バンドである。国内のフェスに登場する機会は最近減ってきてはいるが、出演すれば最大級のステージで客は大入り満帆が確実である。昨年は静岡において、2日間で11万人規模となる野外ライブを開催するなどライブ活動は国内外で精力的に行っている。

 

また、 CMや映画に楽曲が起用されていることも多く、ロックバンドにしては他と比べると世間での認知度も高い。加えて、takaは元ジャニーズで父親が森進一というバックグラウンドを持っている、まさにスーパースターである。俺と比べたらミジンコシン・ゴジラみたいな感じ。

 

そんなワンオクなのだが、2013年ごろから海外での活動が活発になり、先ほども言った通り近年では国内より国外での活動が目立つようになってきた。海外アーティストとの親交が報じられたりと、段々私たちからしてみたら雲の上の存在になりつつあるというのが現状である。そんな人気絶頂の彼らだからこその悩みを、ついにtakaはSNS上で吐き出してしまった。そして、その内容は正直、物議を醸しても仕方ないような物言いであったと私は感じた。

 

 

”日本”のファンは海外で、どうすればいいのか?

 

takaは文面で、海外において”日本”のワンオクファンの行動にとても困っているという実情をぶちまけた。私はその現場に行ったことがないのであくまで推測だが、やはりここまでの人気を持ったバンドになると海外にもともと住んでいる日本人のファンやもしくは日本からワンオクを見るために駆けつけている日本人のファンはたくさんいるのだろう。そのファンが、アイドルの「追っかけ」のように彼らをついて回っている状況が、takaにとってはストレスになっているというのだ。

 

 

 

ここで、素朴に思った疑問が、takaは”日本”のファンに海外でどうしてほしいのかという点である。彼は文面で「なんのために海外で毎日頑張ってるのかわからなくなっちゃう」と言っているが、海外で活動をするからには、海外の人間”のみ”とのコミュニケーションを希望しているのだろうか?もし”日本”のファンが海外にいたとしても、コミュニケーションを取るつもりはないのだろうか?だとしたら、それはちゃんちゃらおかしい話だとは思わないだろうか。

 

もともと海外に住んでいるならば百歩譲ったとしても(本当は譲りたくないが)、苦労して好きなワンオクのために海を渡ってライブを見に来ても、最前に来るな、私はここにいるというアピールをするな、というのはファンからしてみれば相当酷な話だ。後ろでひっそりと聴いてろと強制されてるように捉えられても無理はない。確かに、毎回毎回最前に日本人がいたら、海外でやっているという感覚が少しマヒしてしまうような気はしなくもない。が、そんなことをここまで影響力のある人間がSNSという場で発言していいことなのか悪いことなのかは、判断してもらいたかった。

 

「思っていることを言って何が悪い」とか、そういう話ではない。バンドを運営していくためには多くの関係者の助けがあり、なおかつ支えてくれたりお金を落としてくれるファンの存在があってこそだということを冒涜しかねない文面だったのだ。正直、言わんとしていることは理解できる。プライベートを侵害されるのは決して良いことではない。ただ、それ以上のことを言うべきではなかったし、これでは成功して天狗になっていると思われてもしょうがないだろう。takaは自分がいかにパワーを持っているのかを認識していなかった節があるのかもしれない。

 

 

バンドにおいて、ファンとは

 

どのバンドにも大抵固定のファンが少なかれ多かれいるものである。どこに遠征しても一緒について回って、いつでも最前でバンドを眺めているファンがいることは決して不思議なことではない、よくある光景だと私は思っている。バンドはそのファンを最初は決して無下にしない。裏で「また来てる…」とか言ってたとしても、表向きでは最大限の感謝をするはずだ。まだ発展途上のバンドにおいて、固定ファンは神様のようなものだ。自分たちの音楽を聴いてくれて、ましてやそれを広めようとさえしてくれるわけだから、バンドにとっては大事な顧客なのである。

 

しかし、バンドが有名になればなるほど、固定ファンという概念は薄れていく。というより、規模が大きくなり価値が希薄になる。目に見えていたファンが、次第にぼやけていくわけである。これによって結果的に固定ファンを軽視するケースが往々にしてある。これは短期的とは言わずとも、長期的には間違いなく自殺行為だ。

 

自分の応援していた対象から裏切られるというのは、相当なショックがあるに違いない。今回の騒動でも、「僕らが海外でライブをする意味」という言葉で海外にいる”日本”のワンオクファンは少なくともある程度のショックを受けただろう。このことをファンは決して忘れないはずだ。

 

 

 

もしも、だが。私の好きなバンドがこういった騒動を起こしたら、おそらくライブには足を運ばなくなるだろう。音源も、聴くとこのことを思いだしてしまうかもしれない。

 

時たま、「どういう人間性かはどうだっていい、音楽だけを評価すればいい」と言う人もいる。しかし残念ながら私は、そこまで無感情な人間ではない。この騒動で、少しワンオクを敬遠してしまうのかもな、と思う次第である。

 

 

釈明はあったが…

 

インスタのコメント欄の炎上を受けて、takaは釈明文を投稿した。

 

「ゴメン!文章が足りてなかったね。。」
「一部の人達なんだけど、最近はその一部があまりにも多いって話なんだよね!みんなのこと嫌いにはならなゆ」
「よ!」

 

(引用元:https://www.instagram.com/10969taka/

 

誤字があるが、これが釈明の全文である。この「一部」「みんな」という表現が少し引っかかるが、これ以上首を突っ込みたくないのでやめにする。おそらく、急いで書いたのだとしても最初の投稿がtakaの本音だろう

 

話は少し変わるが、AIR JAM2016にワンオクが出演した際、ファンのマナーが酷い(場所取り、ワンオク以外のバンドを見ないなど)という記事が乱立していたことがあった。確かにこういったものを見ていると、ファンにも問題があるのかもしれないが…どっちもどっち、というのが結論なのかもしれない。…長文失礼しました。

 

レキシが好きなら、SUPER BUTTER DOGも聴いてくれ

 

 

「縄文土器、弥生土器、どっちが好き?どっちも土器」

 

 

 

この鮮烈なフレーズを皮切りに、日本の音楽界に殴りこんできたレキシ池田貴史)という人物の人気は、もうすでに全国区となっているのではないか。彼の楽曲は主にファンクをベースに作られているが、あくまで日本人に受けるような遊び心をふんだんに散りばめたものばかりだ。「歴史縛りファンクネスバンド」と称される彼のソロユニットの曲名は「一富士二鷹サンタクロース」「ヤマサキ春の藩まつり」「ピエール中野大兄王子」など、ふざけたものばかりだが、そこはかとないセンスを感じ取ることができる。

 

今紹介した曲名でお察しの方もいるかもしれないが、彼は曲ごとに様々なアーティストとコラボをしていることでも有名だ。サンボマスターキュウソネコカミ椎名林檎上原ひろみに至るまで多岐にわたるジャンルの精鋭たちと楽曲を作り上げている。しかも、過去には忌野清志郎に楽曲提供をしていたり、彼の話題は尽きない。…のだが、今回はレキシの話をしに来たのではない。

 

 

SUPER BUTTER DOG

 

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突然言われても、誰なんだこの人た…あれ?左から二番目…れ、レキシじゃないか!!

 

 

 

というわけで、今回皆さんに紹介したいのはSUPER BUTTER DOG(以降SBDと略する)というバンドである。残念ながら2008年に解散してしまったのだが、未だに根強い人気を誇っている5人組だ。

 

ちなみに、レキシ以外のメンバーにも現在ソロで活躍しているのがいるのだが、わかるだろうか?右から二番目の竹内朋康は、RHYMESTERMummy-Dとユニット「マボロシ」を結成している。そして真ん中の白眼鏡をかけた痩せたオリラジ藤森みたいな男、実は現在ハナレグミ名義で活躍する永積タカシである。そんな3人を輩出しているスーパーバンドなわけだが、意外と周りにも知っている人が全然いないという状況なので、ぜひこの機会に聴いていただきたい。

 

 

底抜けに明るく、底抜けにキャッチー

 

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レキシ同様、このバンドも主軸にはファンクというジャンルがあるのだが、そんな細かいジャンルはどうでもよくなるくらいに楽しくキャッチーな曲ばかりだ。EDMできらびやかに踊るのも悪くないけど、このSBDのポップなファンクでわけわからんくらい踊り狂う方が個人的には性に合ってるからすんげえ好みなのだ。キーボードソロ、ギターソロもしっかり色が濃く作られてるし、ところどころでしっかりキメがあるのもクセになる一つの要因だ。

 

本場のファンクバンドとかのイメージよりは明らかに明るいのがSBD。なんというか、日本の若者がバカやってるように見えなくもないのだが、そのバカさ加減が絶妙にちょうどいい。童心に戻って歌って踊れるこんなバンドを知らないなんて、勿体ない!

 

 

高い演奏力と高い表現力

 

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SBDはライブ映像を見ればわかるが、全員演奏技術は相当なモノだとうかがえる。私事だが、以前大学の部活でSBDのコピーをしていた友人がいるのだが、あのノリを作り出すのは相当大変そうだった。もちろん個々でも苦戦していたように見えた。やはりファンクバンドというのは絶妙な間を作るためのタメや、カッティングのテンポだったり小難しい部分も往々にしてあるのだ。それをSBDはなんてことなくこなしてしまうのだから、やはりプロって恐ろしい。

 

加えて、こちらの「メロディーの毛布にくるまって」を聴いていただきたい。これは個人的にもとても好きな曲なのだが、先ほどの「コミュニケーション・ブレイクダンス」と一風変わってクールな雰囲気である。静と動がくっきり分かれた曲構成に加え、演奏にしろ歌にしろ、強弱や緩急の上手い使い分けで曲の印象をぐっと大人っぽく変化させている。単調だと思いきや、適所に小刻みな洒落たフレーズが入ってきたりして、曲を通して飽きない作り方をしているなあという印象を持つ、流石。

 

 

最高のギャップ、最高のポップ

 

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最初、SBDのメンバーにハナレグミがいたということを知った時は正直ちょっと信じられなかった。私の中でのハナレグミのイメージとSBDの音楽に多少の違いがあったからだ。まあもちろんハナレグミと同じような曲をやってるとまでは思わなかったが、ファンクをやってるのかという驚きが大きかった(ハナレグミに関してもそこまで知らないが)。

 

しかし、このSBDの代表曲「サヨナラCOLOR」を聴いてようやく合点がいった。これぞまさにハナレグミ永積タカシらしい音楽だなという印象を受けた。そしてそれをこのSBDというファンクバンドが演奏していることで良さが上乗せされている。先ほどの二曲を聴いた後にこの曲を聴くと、ギャップに戸惑いながらも何故かそのメロディーの美しさと永積タカシの声に、涙腺がやられそうになる。こんな不朽のポップソングを持っているなんて、反則だ。

 

 

この曲についてもう少しだけ話させてほしい。この曲は竹中直人が影響を受けて同名の映画を作るまでに至っているというエピソードがある。その映画のラストで流れる「サヨナラCOLOR」は永積タカシ忌野清志郎のコラボなので、ぜひ聴いていただきたい。

 

さて、この曲は”自分”へのメッセージソングだと私は捉えている。本当の”自分”を出したくても、あえて人間関係や社会的な理由でそれを心の奥にしまい込んでいる人たちはこの世界に大勢いるはずだ。そんな人たちが偽ってきた”自分”に「サヨナラ」する勇気をくれるような、強く背中を押してくれるような曲であると私は解釈した。

 

 

サヨナラから はじまることが
たくさん あるんだよ
本当のことは 見えてるんだろ
その思いよ 消えないで
その思いを 僕に見せて

 

サヨナラCOLOR/SUPER BUTTER DOG

 

 

本当の”自分”を否定されるのか怖いから、嫌われるのが怖いから、人は”自分”を偽る。それはとても楽なことで、そんなぬるま湯にはいつまででも浸かっていられる。だけど、それで果たしていいのだろうか。自分のしたいこと、言いたいことを捻じ曲げてでも”自分”を騙し続けるのか。

 

一度でいいからこの状況から「サヨナラ」してみないか?それがどういう結果を生むのかはわからない、ひどく不安なことだけれど一歩踏み出した本当の”自分”はもっと輝いているに違いない。進むことを恐れないで、立ち止まっているのはやめにしよう。

 

 

 

 

というわけで。

 

またもや恒例の自分語りが入って気持ち悪かった方もいるかもしれません、ご意見をください。再考します(笑)。なんだか、歌詞を説明するときにその歌詞に身を入れすぎちゃう癖があるんですよね、受け取り方は個人差があるってのはわかってるんですが。

 

さてさて、SBDを初めて知った方。いかがだったでしょうか?「このバンドめちゃくちゃカッコいい!!」と思ってくれた方が少しでもいたら幸いなんですが、このバンドはもう見れないという現実にぶち当たると寂しくなります。アーメン。

 

レキシもハナレグミも(マボロシはあまり聴いたことなくて…泣)とっても素晴らしいアーティストなのでいつかブログに書きたいと思ってるんですが、そのバックグラウンドにこんなにもファンキーでキャッチーでポップなバンドがいたことをぜひ忘れないでいてくれれば嬉しいです。ほいじゃ。

 

 

 

2016年の名盤、宇多田ヒカルの「Fantôme」について

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宇多田ヒカル。海外からの人気もすこぶる高い、日本を代表するシンガーソングライターである。発売したアルバムすべてがオリコンデイリーチャートで初登場1位を記録した所謂ミュージックモンスター。また、国内の歴代アルバムセールスの1位を以依然守っている人物でもある。多くのメガヒット曲を生み出し、その類稀なる音楽センスに多くのミュージシャンが影響を受けている彼女だが、「人間活動」に専念するとして2010年に活動を一度休止した。

 

15歳で音楽の世界に入った彼女はそこから爆発的に有名になっていったが故に、一般的な生活を全く送れずにいたようである。自分がどういう人間なのかさえわからない…この業界から少し離れて落ち着きたいという意思が強かった彼女は、一度音楽から身を引く決断をしたのである。 

 

「今まで音楽ばかりやってきたし、流れをいったん止めたい、音楽以外のことをして成長したいという気持ちで発信した『人間活動』だった」

 

(引用元:「SONGS」 宇多田ヒカル

 

それから彼女はライブ活動を休止し、特例としてシングル「桜流し」を発売したりすることはあったものの基本的に音楽活動はほぼ行われていなかった。「宇多田ヒカル」としてではなく、一人の女性として人生を再び始めたようなものだったのだろう。その期間は自分の歌を歌うことは全くなかったそうだ。

 

そして2016年、4月4日を皮切りに音楽活動再開を発表。そして、前作『HEART STATION』から約8年半振りに6枚目のアルバム「Fantôme」を9月にリリースした。もちろんオリコンデイリーチャートで初登場1位、第58回日本レコード大賞・最優秀アルバム賞も受賞した。音楽に再び向き合い始めた彼女は、最高のスタートを切って見せた。日本は宇多田ヒカルを必要としていたのだ。

 

 

 

「Fantôme」と母・藤圭子

 

各方面から名盤だという高評価を多く受けているこのアルバム。タイトルの意味はフランス語で「幻」や「気配」だそうであり、読み方は「ファントーム」である、ご承知いただきたい。実はこのアルバム、2013年に亡くなった宇多田ヒカルの母である藤圭子への捧げるという意図を込めた作品であるとされている。藤圭子と言えば、1970年代に活躍した演歌歌手で、女性にしては特徴的な低くハスキーな歌声が私の耳にも印象的に残っている。

 

母・藤圭子の死因は投身自殺だった。後に宇多田本人が語っていたが、藤圭子は重い精神的な病を患っており、それに長い間苦しんできたようである。本人の意思で、治療もあまり行うことなく悪化の一途をたどっていったという。

 

精神病を患うと、人が変わったように性格が豹変するものだ。まるで今までとは別人のようになってしまうケースは多い、藤圭子もそうだったのかもしれない。しかし、どんな人物だとしても、彼女にとってはたった一人の母親が自殺という形でこの世から去ることは推し量れないほどの悲しさや悔しさがあったことだろう。2年後に生まれた孫の顔も、見せることは叶わなかった。

 

母の死、結婚、出産。人生の多くの転機を越えて、宇多田ヒカルは新たなアルバムをリリースした。このアルバムの楽曲には節々に「あなた」「君」という単語が登場する。歌詞の文脈から憶測するにこれは間違いなく母・藤圭子のことだと思っていい。タイトルの意味である「幻」のように、宇多田ヒカルは母の幻に今も囚われているのだろうか…?

 

いや、私はそうは思わない。決して彼女は母の死を引きずっているのではなく、死を理解し、新たに歩き出そうとしていると私はこのアルバムを聴いて解釈している。それでは、私の個人的に印象に残った曲を聴きながら、この作品について私が感じたことをつらつらと書き連ねることにする。

 

 

 

 

 

花束を君に

 

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NHK連続テレビ小説とと姉ちゃん」の主題歌になった、復帰第1作のこの楽曲。歌詞は、母・藤圭子葬儀をイメージしたように考えられる。棺に入る母の、最近は見ることのなかった綺麗な薄化粧の姿。言葉をかけたとしても、もう届くことは無いから、その代わりに綺麗な花束を手向けることしかできない。そんな情景を思い浮かべると、いつかは自分にも起こることなんだと想像してしまい、胸が痛くなる。

 

自分を産み、惜しみない愛を捧げてくれた母。最期の姿より、笑っているあの時の母ばかりが脳裏に浮かぶ。自分が母になった今、改めて感じる母の偉大さ、大切さがこの歌を通して伝わってくる気がする。宇多田ヒカルの母への想いがしっかりと刻まれた歌になっているのは間違いない。

 

この歌のメロディはとても清く美しいイメージを持った。昔の宇多田ヒカルというと、ゴチャゴチャしているかと思いきや耳に残るキラーフレーズが散りばめられていたり、あの時代の独特のノリがあったり、若さも相まって楽曲自体がキラキラと輝いていた。しかし、このアルバムの曲たちはまったくその雰囲気は無い。何も手を加えていない、自然のままの、むきだしの宇多田ヒカルそのものを表しているかのような曲ばかり。むき出しであっても決して刺々しくはない、愁いや虚しさを内包する彼女の深い部分をさらけ出しているからなのか、その歌声やメロディは耳にではなくもっと深くに取り込まれていく感覚がある。「花束を君に」における、宇多田ヒカルの静かな”叫び”もあまりに純粋すぎて、切ないものに感じる。

 

 

 

俺の彼女

 

 

この曲は動画がないのでご了承いただきたい。しっかりアルバムを手に入れて、聴いてもらうことをお勧めする、もちろんヘッドホンで。個人的にサウンド的にはこのアルバムで一番好きな曲かもしれない。しかし、初めて聴いた時は途中まで強い印象を持たなかった曲だった。ベースが前面に押し出されたジャズっぽさがにじみ出る曲だなあというくらいにしか思っていなかったが、この曲全体を聴いてみた後は思わずため息が出てしまった。1曲の中にここまで物語性に溢れたサウンドを入れ込みつつも、歌い方を所々使い分けているのには流石の一言しか思い浮かばなかった。数分間だけで異様な満足感を得ることができた。

 

特に終盤にかけてのストリングスの盛り上がりには正直鳥肌が立った。もちろんこれは、序盤の静かでジャジーな展開が布石となっているわけだが、サウンドは壮大でいて歌声は吐き出すように優しい、そのギャップがまた心地よい。宇多田ヒカルの音楽センスが惜しみなく使われた作品だと捉えている。

 

ちなみに歌詞は男女の関係を描いたものだと思ったのだが、何処からヒントを得た作品なのだろうと考えながら歌詞を眺めているうちに、ふと仮説を思いついた。これもまた、母への歌なのではないかと。少し強引すぎるかもしれないが、俺(宇多田ヒカル)が彼女(藤圭子)の女性としてのイメージを娘目線ではなく、第三者目線で書いた歌詞だと考えて読んでみると、それはそれで興味深かったりする。…ただ、これに関してはひねくれて考えずに男女の関係を表した曲だという解釈が正しいのかもしれないので、この説はあまり強く主張しないでおく。

 

 

 

 

真夏の通り雨

 

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先ほどの「花束を君に」と同様、母への気持ちを前面に押し出した歌詞の曲である。歌詞が少し感情的になっていることや、焦りや戸惑いがうかがえる言葉が見られることから、母の死を理解しきれていない状況から抜け出そうともがく様を描いていると考えられる。

 

突然この世から姿を消した母には、聞きたいことや言いたいことがたくさんあったはずだろう。”サヨナラ”と言ってしまえばそこで区切りがついてしまう気がして、それが怖くてできずにいる状態はとても苦しく、もどかしいだろう。家族がいるから、独りぼっちではない、けれど母への想いは通り雨のように突然、心に訪れる。いつまでも止まない通り雨が。

 

しかし一方で、母はいつまでも過去を振り返る娘を果たしてどう思っているのだろうか。娘には愛する家族がいて、これから先もまだ長い未来が待っている。母という形無き幻影からは自由になるべきなのに、やはり母以外で彼女の渇きを埋めるものはない…。

 

 

歌詞を意識して聴かずとも、曲のメロディだけから悲しさや虚しさが痛いほどに伝わってくる1曲だ。このアルバムではヴァイオリンを中心としたストリングスが大活躍しているが、この曲の荘厳な雰囲気づくりにも一役買っている。…ただ、なんとも美しい楽曲ではあるのだが、どこか無機質さや粗さを感じるのは私だけだろうか。もちろん良い意味での、である。この歌の裏側には、なりふり構わず荒れ狂う感情のままを歌に込めた宇多田ヒカルの姿が垣間見える時がある、私にはそんな気がするのだ。

 

 

 

 

 

長くなりましたが…

 

 

常に日本の音楽シーンに革命を起こし続け、先頭に立ち続けた革命児、宇多田ヒカル。彼女は音楽を商品というツールではなく、感情や自分という存在をぶつける場として昇華していっている気がする。過去の音楽ももちろん素晴らしいが、今の彼女の音楽はより「宇多田ヒカル」としての作品として確立されていくようなものになっている。

 

様々な経験を経て、娘から母となり「人間」として成熟しつつある彼女の音楽は今後もますます変化を見せていくだろう。そう、まるで人生がいくつもの変化を見せていくように。

 

 

 

追記:たったの3曲であほみたいに長く書いてしまった。果たして最後まで読んでくれた方なんているんだろうか…笑。

「うたばん」という音楽番組が無くなって早7年

 

 

歌番組と言われて思い浮かぶ番組はいったい何だろうか。多くの人はミュージックステーションと答えるのかもしれない。確かにMステは日本を象徴する音楽番組であり、国内外の様々な著名アーティストが出演した人気番組である。他にも、MUSIC FAIRだとか少し放送時間は夜遅いがバズリズムなんかも最近は人気を集めている。

 

こういった番組には大抵トークタイムが存在する。だが、歌番組というだけあってメンバー紹介や曲紹介なんかをちゃちゃっと終わらせて、メインの曲のパフォーマンスへと移るのが一般的である。バズリズムではお笑い芸人のバカリズムが司会を務めているため、若干お笑いの要素も含まれている(個人的にはそこまで面白いとも思わないが笑)。まあ、歌番組だし、アーティストが演奏をして、視聴者がそれを聴くのが普通のスタイルだろうから、そこにお笑い要素は必要ない……

 

 

いや、そんなことはない。

 

何故なら、私が過去に見ていた歌番組は腹を抱えて笑えるほど面白かったからだ。もはやお笑い番組の域に入っていたかもしれない。現行の番組が全く面白くないわけではないが、はっきり言ってレベルが違った。

 

その、私が見て育ってきた大好きな歌番組は2つある。ひとつは「HEY×HEY×HEY」。ダウンタウンが司会を務めていた番組である。1994年に放送を開始し、18年間も放送が続いた長寿番組だ。これに関してもいっぱい語りたいので今回はお預け。

 

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そしてもう一つは「うたばん」である。1996年から2010年まで放送していた番組で、司会はとんねるず石橋貴明と元SMAPの中居正弘である。お笑い芸人とアイドルグループのリーダーという異色の組み合わせだが、とんでもなく面白い番組だった。先ほども言った通り、基本歌番組は歌がメインコンテンツだが、私が好きだった番組はどちらもトークがメインで、歌はそこまで重要視されていなかった。この二つの番組のせいで一部のアーティストは芸人レベルのボケやツッコミができるようになっているのも面白い特徴だ。

 

 

「うたばん」における二大イジられアーティスト

 

 番組内ではトーク中にアーティストがいじられることは多々あるが、その中でも飛びぬけてイジられていたのは二つのグループに絞られる。というか、その動画を見てほしいから今回この記事を書いていると言っても過言ではない。

 

 

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まずはジャニーズのである。というかもはや、嵐のリーダー、大野と司会の中居の対決である。流れとしては中居のフリに大野(石橋の入れ知恵)がふざけた回答をして、中居がキレて大野に襲い掛かるというものである。上の動画は、大野以外のメンバーも中居に同じような暴言を吐こうとするがやっぱり大野がナンバーワンというのがよくわかる動画になっている。リアルタイムで見ていたが、腹筋崩壊は必至だった。

 

というかやっぱり最後では流しそうめんとかしてるし、本当に歌番組なのか…?ってくらいにはバラエティに富んだ内容だ。

 

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嵐と双璧を成すのが、うたばん最多登場グループのモーニング娘。である。やはりゴマキやなっち、矢口や辻ちゃん加護ちゃんなどの全盛期のメンバーの時がイジりも全盛期だった。そして一番の標的にされるのはなんといっても保田圭。正直言ってあんまり可愛くはないアイドルだが、そのリアクションは芸人以上。もちろん他のメンバーも個性全開で司会者にイジられっぱなしだ。

 

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毎回保田をイジるときにいろいろなエフェクトが使われているので是非ご覧あれ。それにしても、イジられ方がアイドルとは到底思えない…笑

 

 

youtubeをチェック

 

こんなに面白い歌番組が無くなってから早7年が経つ。これから先に、こんな番組が表れるのか、淡い期待を抱かざるを得ない。

 

ちなみに、うたばんの動画はyoutubeに色々載っているのでぜひ見ていただきたい。どれもこれも面白いものばっかりなので、夜更かしにはご注意を。ちなみに、この番組の制作にはあの秋元康が関わっている。…納得。