新・おんがくの時間

様々なジャンルの音楽にあーだこーだ言うブログ。

「今夜はブギーバック」に乗せて…蘇るTOKYOのカルチャー

 

 

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今の世代で渋谷系の元祖・小沢健二(以下オザケン)を知らない人は多いのかもしれない。1990年代に一世を風靡したフリッパーズ・ギターオリジナル・ラブ、ピチカート・ファイブのようなバンドを総称したのが「渋谷系」バンドであるが、意外とそこまで現代の若者は目を向けないようである。

 

とはいえ、世代ではない私も正直この「渋谷系」の定義はいまいちわからない。調べてたらノーナ・リーヴスとかも含まれるらしいし、幅広すぎて余計にわからん。ただ、これらのバンドが一つの世代を作り、音楽だけでなくファッションなどの多様なカルチャーに影響を与えたこと、そしてその名残が今でもしっかり残っていることは確かだ(特に、ファッションやデザイン界には強く残っている)。

 

 

でも、やっぱりいまいち…わからない

 

そんなこと言ったって、やっぱり昔のことはよくわからない。当時の雰囲気なんてものは私たちがわかるわけもないし、類推したところで、知ってる人たちからすれば「何を勘違いしているんだ」と鼻で笑われるのがオチである。

 

だからこそ、その時代に興味がある。自分の親世代はどんな世界で生きてきて、どんな文化に触れて育ったのだろうか、という疑問は個人的に幼い時から強く感じていたのだ。

 

 

 

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そして、2016年10月に創業40年を迎えたファッションブランド「BEAMS」が、ある動画をyoutubeに公開した。TOKYO CULTURE STORY――、1976年から2016年までの東京の文化をアーカイブするという、壮大な企画だ。40年間という私の人生の倍近い歴史を、何と5分間にぎゅぎゅぎゅっと凝縮した、とんでもない動画である。まずは、ご覧いただこう。

 

 

 

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いかがだっただろうか。

 

諸手を上げて、スタンディングオベーションである。自分が知りたかった、感じたかった歴史・雰囲気をとても簡潔でスタイリッシュに、センスあふれる構成で形にしてくれたBEAMSさんには尊敬の念しかありません。

 

まず、ファッションに関してだが、各年代を代表するようなスタイリストによる監修で、リアルな当時のファッションを再現しているわけで、所狭しと散りばめられたワードの嵐に目が追い付かないほどだ。モデルさんたちによる再現度もおそらく半端ないんだろう。知らない俺でも容易に想像がつくほどに、特徴をうまく表現している。

 

そして、肝心の音楽なのだが…小沢健二×スチャダラパーによる、日本のコラボ楽曲の先駆け今夜はブギーバック今回はスチャダラパー版のようだが)を、時代を彩った17組のミュージシャンが各々にアレンジするという豪華すぎる内容となっている。見ているうちに「え?この人も!?このバンドも!?」と驚き、感動しっぱなしのラインナップとなっている。それでは、音楽を中心に各年代に分けて簡単に解説をしていこう。(長いよ!!!!)

 

 

1976年~1980年代前半

 

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最初に登場するのはシティポップの大御所、南佳孝細野晴臣鈴木茂のティン・パン・アレイにも参加していたクールなイメージのアーティストで、今回はアコースティックギター片手にこの動画に参戦。創業当時のBEAMSのファッションを身にまとったモデルを両脇に、軽快なリズムを奏でる。

 

 

と思いきや、聞き覚えのあるアバンギャルドな歌声と共に颯爽と戸川純の登場である。「ニュー・ウェーブ」とも分類される彼女は未だにカルト的な人気を誇る80年代のポップアイコンである。とはいえ、自殺未遂のイメージからか個人的には狂気的な印象を感じる。壁に血で「皆憎」って…怖すぎ。そんな彼女の歌声に乗せて竹の子族が登場だ。この竹の子族とは、1980年代に渋谷や原宿の歩行者天国でラジカセを囲んで踊り狂ってたヒッピー野郎どもである。いやあ、えぐいね。

 

 さあ、続いてはロカビリー代表、ギターウルフが勢いよくカマすわけだが、なんだか彼らだけ古く感じないのは気のせいだろうか笑。世界を股にかけて活躍する日本ロックバンド代表の先駆けともいえるのがこのギターウルフだが、最近ベース脱退したらしいですね…。そして、ファッション界からは「DCブランドブーム」の象徴でもある、黒ずくめのカラス族。不気味だけど、個人的に黒が好きだから憧れてたりする。

 

 自分なりのセクション分けではあるが、80年代前半を締めくくるのは孤高のトランぺッターこだま和文。日本初のダブバンド(レゲエ発祥のジャンル)を結成した先駆者でもある。優しくも芯のある力強い音色の「今夜はブギーバック」も、乙なもんである。また、ここでは丁度この頃ブームを巻き起こしたウォークマンインスタントカメラが華を添えている。

 

 

 

1980年代後半~1990年代前半

 

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ここで意気揚々と画面に入り込んできたのは美魔女・森高千里。近年では積極的な音楽活動からミュージシャンとしての印象も強いのでは?「私がオバさんになっても」で大ヒットし、tofubeatsとの共演でダンスポップのイメージが強い彼女だが、キーボードやドラムも演奏できるマルチプレイヤーなこともお忘れなく。また、オシャレの代名詞ともいえる雑誌「POPEYE」を背に、渋カジと呼ばれるポロシャツ・ローファー・ジーンズといったシンプルな装いのモデルが現れる。そんな彼らが持っているのはあのゲームボーイ。カラーじゃないんだね、私がやり始めたのはカラーからだったなあ…。

 

 

打って変わって、轟音と奇怪な叫びをバックに暴れだすのは1986年結成の日本が生み出した実験的サイケデリックハードコアバンド、BOREDOMSのフロントマンEYEである。自由すぎてつかみどころのないバンドだが、世界的には私たちが思っている以上に有名であり、評価も軒並み高い。2007年のニューヨークでの77台のドラム同時演奏は鳥肌ものであるので、ぜひ見ていただきたい。もはや、これ「今夜はブギーバック」じゃないな笑。ちなみに、こんな音楽には似ても似つかぬボディコンウーマン(平野ノラを想像してください)が登場しているのだが、持っている携帯がmova…懐かしすぎる。

 

 

そして時代は90年代へ。ピチカート・ファイブの3代目ボーカリストとして名を馳せた野宮真貴が軽快なテンポでオシャレにキメてくる。ナレーターやデザイナーとしても活躍する彼女の近くに座るモデルたちは皆裏原系ファッションに身を包む。「GOODENOUGH」くらいはかろうじて知っている程度。確かTシャツ1枚6000円とかじゃなかったっけ。

 

 

 

1990年代後半~2000年代前半

 

 

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さあ、ついに私が生まれた1995年を過ぎると突然篠原ともえが独特なファッションで登場。シノラーブームの張本人であり、サブカルの代表格でもある彼女の後ろで流れているのはサイプレス上野高木完によるヒップホップ調の「今夜はブギーバック」。現代のフリースタイルダンジョンの台頭でまたリバイバルを見せているこのジャンルだが、火付け役のこの二人は欠かせないだろう。この時代も引き続き裏原系ファッションに加え、アムラー安室奈美恵のファン)やB-BOYファッション(ストリート系)が出現。さっきの「GOODENOUGH」もとうとう姿を現した。

 

 

からの、メロコア・パンクの時代へ突入。ここで登場したのは2012年に再結成した泣きメロエモバンドHUSKING BEE。ハイスタやブラフマンらと共に音楽チャートを賑わしたインディーズシーンの雄である。良くも悪くもこの世代はライブハウスを中心に回っていたとも言える。とか言ってたらガングロギャルが突然出てきて、ちょっとビビる。

 

 

またもや雰囲気打って変わってエレクトロ・テクノ系の音楽を奏でるのはSUPERCARのナカコーとフルカワミキ。個人的にはもうちょっとシューゲイザー感出して欲しかったけど、まあそこは気にしない。所謂「97の代」とも言われる化け物集団の中のひとつ、スーパーカーは当時の新世代ロックバンドとしてライブシーンで活躍した。加えて、さっきのメロコア世代とは異なり、少しオシャレなライブハウスの様子が表現されている。

 

 

 

 

2000年代後半~2010年代

 

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激しくも優しい、歌声と演奏のギャップが心地よいポストロックの代表格クラムボンと共に、時代は私たちの知りうるところまで加速していく。当時のカジュアルな装いをした若者たちだが、ここまでくるともはや見慣れてきたものである。

 

すると、途端に音楽は電子的に。もしや、と思ったがやはり初音ミクである。実際、カルチャーを語る上でニコニコ動画初音ミクボーカロイド)の登場は触れておかなければならない特記事項だ。これに付随して、エレクトロスタイルボヘミアンファッションのモデルが登場しているが、これらは今でいう”おしゃれ”となんら遜色はない気がする。てか、多分こういう人全然いる。

 

騒々しい音楽に乗せられて登場したのはももクロ…じゃなくてチームしゃちほこ(マジで一瞬見間違えた)。2010年代からと言っていい、アイドルの乱立文化は今でこそカオスな領域まで来ているが、初期の頃はまだここまで腐敗していなかったのだろうか…あんまりそこらへんは記憶にない。モー娘。がいなくなったなあ…くらいの印象しか残ってない。

 

急にシャレオツな音楽流れてきたと思ったら、tofubeats仮谷せいらの組み合わせ。インターネットをうまく利用してバズらせるのはtofubeatsが始まりだったんじゃないかな?と勝手に思っている。それにしても、彼のような新時代の音楽も、最近ではだいぶ当たり前になってきてるのが時代の経過をひしひしと感じる部分でもある。あと、ここで出てくるBOYS MIXと呼ばれるファッションでこの前の「水曜日のダウンタウン」を思い出した。「髪の短い女性は気が強い」みたいな説。実際そうやろなあ(適当)。そして、突然俺の嫌いなクラッチバッグ持った男出てきて萎える。

 

 

そして、動画の最後を飾るのはアシッドジャズでムーブメントを作り出したSuchmosから、ボーカルのYONCE。やっぱり普通に歌上手くて感心…と思ったらあっちから歩いてくるのは俳優の池松壮亮やんけ!話してるの小松菜奈やんけ!!!!どっちもアンバランススタイルと呼ばれる少しだぼっとしたファッションだが、やっぱり美男美女は何しても映えるね。小松菜奈結婚してくれ。

 

 

 

というわけで

ざっと説明してきたわけなんだけど、一ついいですか。疲れた(笑)。

 

4000文字超えたのは初めてかもしれない…でも、書いてて楽しい記事だったのが幸いだったかな。それにしても、5分にここまでの情報とセンスを詰め込むなんてプロの所業だというのが身にしみてわかった。音楽のチョイスも流石。

 

自分たちが感じ得ない時代の雰囲気を少しでも体験させてくれるような、貴重な動画でした。それでは最後に、BEAMSからのメッセージで終わりたいと思います。ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございました!お疲れ様でした!笑

 

 

 

 

Not only to reflect on the past, but to shed light on the future.
This culture continues to shape the next generation.

(過去を振り返るのではなく、新しい未来をみつけるために。
そのカルチャーは次の時代につながっている。)

What's Next?

(さあ、次はどんな時代が待っている?)