今だから聴こう、アベフトシ
先日、12月16日は私の最も好きなギタリストの誕生日です。”もしまだ生きていれば”彼は今年で50歳になっていました。2009年に亡くなってしまった、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのギタリスト、アベフトシさんです。
1996年にミッシェルガンエレファントがデビューし、2003年に解散。その後は他のアーティストのソロプロジェクトに参加したり、吉川晃司のライブに出演するなどしていたが、2009年7月22日に急性硬膜外血腫でこの世を去った。42歳だった。
私の話になってしまうが、ミッシェルガンエレファントというバンドを知ったのは中学生の時だった。そのころはあまり詳しく知ろうとも思わず、結局ちゃんと聴きはじめたのは高校の時。その時にはすでに、アベはこの世にいなかった。
ライブ映像を動画サイトで見ていると、無性にミッシェルのライブを見たくなる。個人的には、CD音源よりライブのほうがむちゃくちゃにかっこいいのだ。原曲のテンポを無視して走りまくっていてもかっこいい。というか、それがミッシェルだから、癖になってしまうのだ。そして、鬼のような形相でギターを荒れ狂うように引く男が、映像にはいつもいた。しかし、私はもう、ミッシェルガンエレファントを見ることはできない。アベフトシの演奏を生で見ることはできない。
アベフトシとはどんなギタリストなのか?
私はギターを演奏したことがないので詳しくはわからないが、とりあえず彼の武器はカッティング奏法である。わからない人にはググっていただきたいが、チャカチャカやってるのを想像してもらえればいい。後で映像を見ればよくわかると思う。
彼のギタープレイはおそらく今活躍しているバンドマンたちに多大な影響を与えているはずである。エフェクターを一切使わず、ギターそのもので勝負するカッティングの鬼は、その姿やライブでの立ち振る舞いでさえカリスマ性を持っていた。
しかし、ミッシェルガンエレファントに今の若者がたどり着くかと言われると、おそらく少し難しいのかもしれない。現在の邦ロックを聴いていて、ミッシェルが関連動画に出てくるとしたらピンボールズくらいだろうか。世界の終わり、って言われたら大抵みんなFukaseを思い出すだろう。
ということで今回は、いくつかの動画でアベフトシのカッコよさを知ってもらおうという記事である。昔のバンドなんて興味ないよ!という方も、少しお時間をいただけないだろうか。今のバンドにはない空気感が、彼らの演奏にはある。鬼気迫った、殺るか殺られるかの世界のような…ヒリついた世界が。
アベフトシに注目!オススメ曲
スモーキン・ビリー
ミッシェル中期の名曲、スモーキン・ビリーである。このライブ映像は1999年のライジングサンロックフェスティバルでの演奏である。アベ含め全員の演奏はこのライブがベストアクトだったといっても過言ではないライブである。
まあこの曲に限ったことではないが、ソロのアベのカッティングはえげつない。ここまでするかと言わんばかりのカッティングの応酬。解散間近になってくるとアベはあまりライブ中に動かなくなるのだが、この頃のアベは動きもキレッキレである。曲としてもシンプルにかっこいいし、愛という憎悪と叫べば大体のミッシェルファンとは友達になれるからこの曲は覚えておいて損はない。
アンジー・モーテル(~ピストル・ディスコ)
こちらは2000年に発売されたアルバム「CASANOVA SNAKE」に収録されているアンジー・モーテル(続けてピストル・ディスコ)のライブ映像である。この曲のギターソロが個人的に最もアベフトシのソロの中で好きである。アルバム通して雰囲気がダークであるが(ライブ映像もダーク笑)、純度100パーセントの激しいロックがかき鳴らされた楽曲ばかりだ。その中でも、私はこの曲を推させてもらう。
ちなみに、原曲を聴くとわかるのだが…いや、聴かなくても薄々わかっているかもしれないが、このライブ音源ではとんでもなく走っている。よくドラムのせいにされがちだが、これに関しては完全にアベフトシのせいである。ギターの入りの時点で爆速である。それについていけるメンバーも凄い。ちなみにアベはそこまで反省していないらしい(笑)。
スイミング・ラジオ
これは少しマイナーな曲なのだが、2002年に発売されたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT GRATEFUL TRIAD YEARSというベスト盤の3枚目であるレアトラック集に入っている。アベフトシはミッシェルガンエレファントのことを「常に10本の弦が鳴っている」と形容したこともあるが、まさにその象徴がこの曲。特にアベはもはやずっとギターソロを弾いているレベルで弾き倒している。マイナーだがぜひ聴いてもらいたい一曲だ(シャンデリヤという曲も、もちろん同じ趣旨で聴いてほしい)。
世界の終わり
ミッシェルガンエレファント、デビュー曲にして最後に演奏された曲でもある。この曲について、というかこのラストライブに関してはこの記事では書ききれないので、とりあえず演奏をただ見てもらいたい。そして圧倒されて欲しい。
ちなみに途中でアベはギターの弦を切っている。切れかけていた弦を意図的に切ったようにも見えるが、真偽のほどは定かではない。それでも最後まで素晴らしい演奏をし、終わりに「ありがとう」とだけ言い残してステージを去った。
いかかでしたか?
アベフトシを知ってる人も知らなかった人も、お楽しみいただけたでしょうか。彼のギターを聴けば聴くほど、好きになればなるほど、虚しい気持ちになってしまうのは事実ですが、こうやってCDやインターネットでいつでもアベの遺した音楽を聴ける時代なのだから、いつまでも聴き続けていたいと思います。そして、若い人たちにどんどん伝えていきたい。こんなにもカッコイイギタリストがいたことを。
これをきっかけにぜひ、ミッシェルガンエレファントを好きになってくれればいいなとも思ってます。他の曲も名曲ばかりなので、よかったら聴いてみてくださいね!またミッシェルの記事も書こうと思います。
それでは最後に、アベさん誕生日おめでとうございました!!