DIALUCKにひと聴き惚れした
ガールズバンドはそれぞれの時代において、一つのシーンを作り出す力を持っている。「ロック」といえば男臭いイメージがあるなかで、それをあえて女子がフロントで演奏するという奇抜さ、そして度胸。今でこそ数えきれないほどのガールズバンドがあるが、この流れは過去の先人たちの挑戦が土台になっているのだ。
それこそ少年ナイフとかの話をし始めてしまったら混乱してしまう人たちも続出してしまうので、比較的最近の話だとチャットモンチーなんかがやはりガールズバンドブームの火付け役だったのかなと私は思う。そこからどんどんと後続として今なお活躍するバンドが生まれていった。それこそ赤い公園やねごと、このブログでも取り上げた”女子高生の恋愛参考書”ことSHISHAMOなどなど。
次世代ガールズバンドの台頭
さて、しかし新陳代謝の早いこの業界のことである。SHISHAMOもすっかり中堅バンド感が漂う感じに成長してきているわけで、それと同時に早くも新たなニューカマーたちも次々と登場してきているのだ。
その中でも頭角を現しつつあるのはやはりyonigeではないだろうか。大阪出身の二人組で、代表曲「アボカド」や「さよならアイデンティー」を中心にライブシーンやyoutubeでブレイク。最近では大型フェスにもたびたび出演しており、その注目度はガールズバンドの中では一線を画していると言えるだろう。
ガールズバンドは、嫌な話だがやはり音楽だけでなく容姿も重視されてしまうわけで、その点ではこのyonigeのボーカル牛丸はハーフの美形ときてる。ちなみに俺はベースのごっきんも好きです。
音楽性としてはややこしくないストレートなロックのイメージが強く、わかりやすいしかつエモい。正面から真っ向勝負を挑むがごとく、まじりっけのないサウンドでガールズバンド界に衝撃を与えた。それゆえの若干のうすっぺらさも、これまたリアルでよさげ。
なおかつ歌詞が生々しい。どこかで「女版マイヘア」なんて揶揄を聞いた気がするが、なるほどなあと思ってしまった。実際この曲だって、「お前私と別れたお前幸せそうだなバーカ!!アボカドドーン!!」みたいな歌である。20代のちょっとひねくれた恋愛事情をうまく歌に乗せているし、それでいてこの世代独特の一筋縄ではいかないめんどくささを表現できている音楽がyonigeの強さのひとつだろう。
本題です。
さて、前置きが長くなったが本題である。先ほど紹介したyonigeは最初PVを見たときは「あー、またこういう感じか」くらいでそんなに注目してなかったのだが、ライブを見る機会があったり、いろんな場所で耳にすることが増えてきて改めて聞いてみたらカッコいいのを再認識したバンドで、言うなればジワジワと好きになったバンドである。
しかし、今回紹介するバンドの曲は初めて聴いた時に「あ、これ好きだわ」と即惚れしてしまったのだ。先日観に行ったライブハウスで転換中に流れていて、あわててスマホで検索して見つけたという、本当につい最近知ったバンドなのだがぜひ皆さんにも知っていただきたい。それがこちらである。
DIALUCK
なぜ私がyonigeについて先ほど話したかというと、失礼な話だがDIALUCKの説明のために引き合いにした部分がある。このバンド、DIALUCKは大阪寝屋川出身の3ピースガールズバンド。yonigeも出身は大阪寝屋川。もともと3ピースだったことを考慮すると、共通項が多い2バンドになっている。
しかし、音楽性はだいぶ違っている。上記の曲「セーシュン」の始まりは、不思議で少し暗い印象を持つ。そして曲が進むにつれてアンニュイでありながらも激しさを内包するギターロックへと変貌していく。ラスサビに向かっていくとともにこの曲は少しずつ形を変えていくような気がしたのだ。
サウンド的にはシンプルなロックなのだが、物憂げなアルペジオと自由なワードセンスで書かれた歌詞、そして私が聞き惚れた大きな一因でもあるボーカルharuの歌声が、確実に他のガールズバンドと違いを打ち出している。気だるそうに歌っているのだが、それでいてしっかり伝えたいことが伝わってくるあたりは、彼らの才能なのかもしれない。
他にはない「暗い」ロック
それこそSHISHAMOやyonigeなんかはサウンド的にも歌詞的にもどこかにポップな一面が顔をのぞかせている。ガールズバンドは個人的に明るいイメージが強くて、そのなかで最初にyonigeを見たときなんかは少し陰鬱かなと思ったのだが、DIALUCKを聴いてしまうとyonigeすら明るく見えてしまうほどだ。
DIALUCKが飛びぬけて暗いわけではないのだが、他のガールズバンドにはない”闇”があって、それがロックにしっかりと結びつけられている。彼女たちならではの”闇”は、聴いていてどこか親近感を覚えるというか、寄り添ってくれるというか。きれいごとだけじゃ人生は片付かないように、少し憂いがあるくらいが音楽もちょうどいいのかもしれない。
それにしても、なぜガールズバンドなのに根底にあるのこのような物憂げなサウンドなのか。インタビューで、DIALUCKを率いるギター・ボーカルのharuは自分の書く曲に対してのこだわりを語っていた。
ライヴ・ハウスで働いてたんですけど、「うぉー!イェーイ!」「手あげて!手あげるまでオレら帰らんで!」みたいな明るいバンドを見てるのが居心地が悪くて嫌だったんです。それはそれでいいと思いますけど、私はそれよりも絶望的に暗い方が居心地がよかった。
(haru/DIALUCK Vo.&Gt. http://ototoy.jp/feature/20161115123)
インディーズバンドのライブをよく見ていて、なおかつ同じことを思っていた人間としては「なるほど」の言葉しかないです。(笑)
今後に期待大!
私が大大大プッシュするこのDIALUCKだが、なんと今一部界隈では少し話題になっているんだとか。その理由は、重力アクションアドベンチャー『GRAVITY DAZE 2』(2017年1月19日発売)というゲームの主題歌に作詞と歌で参加したharuの歌声と曲が大好評を受けているのだ。惜しくもこの曲に関してはまだ発売などは予定されていないようだが、これを機に一気にDIALUCKの名も知れ渡ること間違いなしである。今度下北沢に来るみたいなので、ぜひ足を運んでみてほしい。私も絶賛検討中である(予定とご相談中)。
(2分45秒から曲が流れます!)