新・おんがくの時間

様々なジャンルの音楽にあーだこーだ言うブログ。

劇中歌だけで全部かっさらった映画「ファイティング・テンプテーションズ」、知ってる?

 

 

どうも、お久しぶりです。ここのところ毎日更新してやろうと意気込んでたのですが、忙しさが祟ったのか体調を崩してしまいました。やっとこさ回復しつつあります。ということで、数日ぶりの更新なわけですが、今回はこれまた久々の映画にスポットライトを当ててみようと思います。

 

と言っても、このブログで扱う映画は基本的に音楽が気に入ったものなんですが(「ミュージアム」に関しては特別ということで…)、今回もその類の映画です。日本では知名度が低い映画だとは思いますが、それだけにぜひ知っていただきたい映画なのです。それがこちら!

 

 

ファイティング・テンプテーションズ

 

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画像の時点でバレてるんですが、実はこの映画には世界が誇るディーヴァ(歌姫)、ビヨンセが出演しています。このコメディ映画でバナナで滑って頭をコンクリに強打してても笑ってるような黒人男性とのダブル主演です。ちなみにもう片方の主演のキューバ・グッディング・ジュニアは1996年にアカデミー助演男優賞を受賞している凄い俳優さんです。変なこと言って本当にすいません。

 

あらすじ

 

さて、この映画の簡単なあらすじを説明しましょう。舞台はアメリカ、ジョージア州。主人公のダリン(キューバ・グッディング・ジュニア)は親族の遺産を相続するために故郷へ戻るのですが、遺産相続の条件がなんと「聖歌隊を率いてゴスペル大会で優勝する」。そんなもんやるか!と諦めてニューヨークへ戻る途中にクラブで出会ったリリー(ビヨンセ)の歌にほれ込み、聖歌隊にスカウト。見事に拒否されるも、火が付いたダリンは聖歌隊を結成し、大会へ向けて練習に励みます。そして、周囲の熱意に負けたリリーも加入して…とまあこんな感じですね。

 

ストーリーはざっとこんなものです。多分見たことある方なら思ったかもしれませんし、この文面だけ見ても思う方がいるかもしれません。何度か見ている私ははっきり言えます。ストーリーがおもしろくない。別にそこまでの紆余曲折もないし、キャラクターもぱっとしないし、正直序盤はマジで忍耐の時間です。

 

ここまでこき下ろしておいて、なぜ私はこの映画を「何回か」見ているのか。その理由はズバリ、劇中の音楽がすべてを占めています。

 

 

全員歌がアホみたいに上手い

 

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ダブル主演の二人を筆頭に黒人の俳優が多いのですが、特にこの三人は圧倒的に上手い。こんなん幼少期に見せられたら音楽への道に目覚めてまうわ。多分マジな話、なんでもない街のはずれの理容室にもこういう人材が埋もれてるんだろうから、アメリカって凄いよね。っていう話です。(笑)

 

 

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さらにこの映画ではラッパーも登場しちゃう。ゴスペルなのにラップ!?と思いますがご安心を、曲の中では出てこないです(笑)。でも、何気ない一コマにもこういった音楽的一工夫がなされてるのは個人的にすごい好きです。ラップが始まってから黒人のおじちゃんたちが「やるやん」みたいな顔してるのとかめっちゃ好き。

 

 

あえてビヨンセ主体じゃない

 

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この映画のコンセプトはゴスペル。合唱とはいえ、やはりメインボーカル的存在はつきものですが、大物歌手のビヨンセを差し置いて他の俳優たちがメインとして活躍している歌がこの映画では多く見られます。確かにビヨンセは映画内でとても重要な役回りではありますが、決して彼女のワンマン映画ではなく、むしろみんなが主役の映画と言った方が正しいでしょう。

 

先ほどキャラクターがパッとしないと言いましたが、歌を聴いているうちに「この人の声好きだわー」とかそういうのがいっぱい出てきて止まらなくなってくるのです。後半の歌ラッシュが始まると、先ほどまでのつまらなさは何だったんだと言わんばかりの巻き返しが待ってますよ。

 

 

ラスト曲で感動、「He Still Loves Me」

 

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映画の終盤、ゴスペル大会で披露したこの楽曲は最後にふさわしくビヨンセが大活躍の曲です。とはいえ、しっとりとした序盤からラストにかけての盛り上がりと迫力はまさに圧巻の二文字。これを映画館のサラウンドで聴いてみたかった…!

 

一人一人が素晴らしい歌唱力を持ち、しかもそれを殺しあうことなく美しいハーモニーを生み出す、この曲を聞けただけでこの映画を見た価値があるというもんです。いや、マジで。結局、最後にフロントにいるメンバーはほぼ黒人なんですが、やっぱり黒人すげえよ。歌で心動かせちゃうもんな、この人たち。

 

 

いかがでしたか?

 

冒頭で言った通り、この映画まじでストーリーは全然面白くありません。でも、この映画の流れで音楽を聴いていくと、最終的には「見て良かった」と思う謎の映画です。じゃあサントラ買えばいいじゃん、という声もあると思いますが、個人的には歌っているときの楽しそうな演者の顔を見るのがとても好きなので、映画を見ることをお勧めします。ぜひ、皆さんも一度見てみてくださいね!!それでは。

きのこ帝国に出逢えた、この街の名は「東京」

 

 

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「東京」という曲を思い浮かべてください。そう言われたらあなたは、どのアーティストの「東京」を思い浮かべますか?これはあくまで予想ですが、大方は二つに分かれると思うんです。ひとつは、くるりの「東京」。これはこれであまりにも有名ですね、よく地方から出てきた若者が東京に出てきたときに聴いていました、というエピソードを聞く気がします。そして、おそらくもうひとつはきのこ帝国の「東京」ではないでしょうか。他にもサニーデイ・サービスや踊ってばかりの世界、銀杏BOYS。福山雅治にもあったかな…そこは少しあいまいですが、知名度というか曲のインパクト的にはきのこ帝国のこの楽曲が強いと考えます。

 

この前、カウントダウンジャパンで初めてきのこ帝国のライブを見ることができたんです。彼らは2007年に結成して、2008年から活動を開始しているらしく、意外とそこまで若手というわけではないんですが、ここまであまりライブを見る機会もなく2016年を終えようとしていたんです。そこにたまたま年の瀬にきのこ帝国を観れる、正直「東京」くらいしか知らないし、その「東京」すらそこまで聴いたことないし…どんなバンドなんだろう、そんな思いでライブを見ました。

 

シューゲイザーだけど、その一言で片づけられない

 

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結論から言います。圧倒されました。音に、声に、雰囲気に。全てに圧倒されました。ホントに良い意味でポカーンとしてしまったというか。最後に演奏した曲がこの「東京」だったんですが、純粋に心の底から「あ、良いなコレ」と思える曲でした。それと同時に他のバンドとは違って一つ一つの歌や音が叩きつけられるように、突き刺さるようにハッキリとしていたんです。

 

このバンドのジャンルはおそらくシューゲイザーやオルタナに分類されるんでしょう。シューゲイザーの特徴はノイズやディストーションがかかったギターサウンド、それでいて甘いメロディにそっと囁くように歌うボーカル。紛れもなく、きのこ帝国のことですね。ライブでもやはり、ギターサウンドに限らず曲中にそれぞれが轟音で楽器をかき鳴らすシーンが幾度か見受けられました。その姿はどうにもめちゃくちゃカッコいいんですけどね。

 

ただ、ボーカルの佐藤はきのこ帝国の楽曲をどうも、そういったジャンルとしては曲を作っていないらしい。

 

最初からシューゲイザーだと思ってリリースしたことは一度もないんです。歌モノであり、景色や感情を表現するためのツールとして音楽を機能させているだけであって、シューゲイザーやオルタナという音楽ジャンルとしての目的を果たすために音楽をしているわけではないので、ピンとこないんです。何か琴線に触れるものがないといけないと思うんです。きのこ帝国はそういう音楽を作り続けていると思うので、ジャンルのことを言いたい人もわかるんですけど、勘違いしてほしくないのはきのこ帝国は「ジャンルにこだわっているグループではない」ということですね。

 

佐藤千亜妃

(引用元:http://realsound.jp/2015/05/post-3158.html

 

 

彼らの音楽はシューゲイザーに当てはまるようなものであるのは確かでしょう。しかし、それだけでは語りつくせない、言葉には表せないような感情を湧き起こさせるのがきのこ帝国の楽曲な気がするんです。弱すぎず、強すぎない人間のリアルを映し出しているようなボーカル佐藤の声が一番の武器ですし、それがしっかり機能する演奏であり、曲の構成だと思うんです。

 

 

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「東京」の入っているアルバムの二曲目に収録されている「クロノスタシス」。これもとても評判の高い一曲です。曲の中にそこまで緩急や強弱は少なく、言ってしまえば単調な曲とも捉えられますが、繰り返されるギターのリフと決して優しすぎないが、寄り添うように歌うメロディ。いつまでも聴いていられるような心地よさを生み出していますね。これもきのこ帝国の雰囲気が為せる業なのでしょう。

 

 

「猫とアレルギー」で脱皮したきのこ帝国

 

初期に比べると先ほど紹介した2曲の入ったアルバムは若干ポップ寄りに作られていたそうで、ファンからは驚きの声も少なくなかったそう。とはいえ、先ほどボーカル佐藤が言っていた通り、彼らをジャンルで縛るのはお門違いなのでしょう。まあ、ずっと同じスタイルを貫くバンドもいますが、やはり何事にも変化はつきものですし、それが正解なのかどうかは簡単に判断できることではありません。きのこ帝国についてももちろんそう。ただ、個人的にはそのアルバム「フェイクワールドワンダーランド」は凄く好きな作品です。

 

そして2015年11月に発売されたメジャー1stアルバム「猫とアレルギー」では、彼らはさらに可能性を押し広げました。私はこのアルバムが初めて聴いたきのこ帝国のCDになったわけで、リードトラックである表題曲「猫とアレルギー」を最初に聴いた記憶があります。そしてまたもや、「東京」の時と同じような、いやそれ以上の衝撃を受けたのです。

 

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歌詞にしてもメロディにしてもどこかもの悲しさが漂う。ストリングスやピアノ、ギター、ベース、ドラムのそれぞれが合わさった壮大な音が彼らの音楽を形作り、彩る。後半に進むにつれて、決意を示すように力強く歌は、音は奏でられていく。アウトロのギターでわかっていたけれど鳥肌が立つ。

 

決してバンド感が強いわけではない、どちらかというとキャッチ―な楽曲。でも、この楽曲によってバンドは後退ではなく前進しているように感じました。ああ、このバンドに出逢えてよかった。そう思うような一曲でした。彼らの音楽はさらに次のステージへと向かっていくのでしょう。

 

触れなくていい 忘れていいから
ただこの瞬間、こっちを見ていて
あなたの顔や あなたの声が
何度でも思い出して歌うわ

 

(猫とアレルギー/きのこ帝国)

 

 

”今”のきのこ帝国が一番熟している

 

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普通なら最初に初期の曲を紹介するべきなのですが、今回はあえて最後に紹介させてもらいました。その理由は、”今”のきのこ帝国をオススメしたかったからです。もちろん初期からのファンの方もいらっしゃるでしょう、ただ私は初期より”今”のほうが好きなのです。

 

この「ユーリカ」はダークなシューゲイザーというイメージで、先ほどまでのきのこ帝国とは打って変わって暗い印象を持ちます。確かにこれはこれでかっこいいんです、だけど、私は変化していくきのこ帝国の音楽にとても惹かれました。メジャー志向で、曲も段々ポップにしていったという意見もあるようですが、理由はどうあれポップにするのは何もいけないことではないですし、ジャンルに縛られない彼らは誰かに媚びることなく突き進み、結果として素の状態になった音楽がポップだと捉えられた、といえるんじゃないでしょうか。

 

彼らの変化はこの過去があっての変化であって、過去を捨てているわけではありません。全ての曲がポップになったなんてことはないし、むしろ彼ららしさが溢れている曲ばかり。アルバムをリリースするにつれて段階を踏んで熟していって、今が食べごろなのがこのバンドだと私は思います。ぜひ今、皆さんに聴いてもらいたいバンドの一つなんです。

 

 

冬、私はまた、今日もこの寒空の「東京」に降り立ちます。あの歌を聴きながら。

 

 

日々あなたの帰りを待つ ただそれだけでいいと思えた 窓から光が差し込む あなたに出逢えた この街の名は、東京

 

(東京/きのこ帝国)

 

 

わかったよ、Suchmos聴いてなかった俺が悪かったよ

 

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2016年にアンダーグラウンドから一気にのし上がってきた代表格と言えば、やはりSuchmosだろう。彼らは若者に限らず、30代や40代、もはやそれ以上の世代すらも虜にしたバンドである。昨年の暮れにカウントダウンジャパンに足を運んだ際、私も一度は彼らのライブを見てみたいと思っていたので、SuchmosのいるASTRO ARENAに向かおうとしたのだが、そこにはすでに長蛇の列が。凄まじい混雑は、入場規制が原因だった。スタッフ曰く、このままではライブが終わるまで入れない可能性もある、とのことだった。ここで私は、彼らの人気を肌で感じたわけである。

 

 

ここから個人的な話になるが、私はSuchmosをあまりちゃんと聞いたことがなかった。私はたまに”聴かず嫌い”をする癖がある。もちろん音楽雑誌などをよく読んでいるし、Suchmosの存在は当たり前に知っていたし、SNSなどでよくリツイートで情報が回ってくることからも人気の高さは感づいてはいた。だが、どうも風貌が好きになれなかった。だってちょっと…クラブとかにいそうじゃん。スケボー持って電車乗ってきそうじゃん。なんかそういう短絡的な、どうでもいい理由でSuchmosに近づくことのないまま2016年を終えてしまったのだ。

 

 

どうしても気になるから聴いてみた

 

年が明けて、やはり相変わらずメディアやSNSはSuchmosをプッシュしている。ここまで言われてると、流石に気になってきてしまう。なんか、予想として結構電子音がっつりのイケイケパーティ音楽なんだろうなと思っていたわけで、notパリピの私としては果たしてそのノリについていけるのか心配だったのだ。あと、何度も言うけど見た目がちょっとチャラい。なんか取っつきにくそう(言いたい放題である)。

 

とはいえ、こんな音楽に関するブログを書いているのに彼らの代表曲「STAY TUNE」すら知らなかったら、音楽の話題を書くものとして風上にも置けないのは心に刺さるほどに自覚している。ええい、もう聴くしかない!私はついにyoutubeでSuchmosを初めてじっくり聴いてみることにしたのである。

 

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な、なんだよ…カッコいいじゃん…

 

ホントに過去の自分を叱りたい。何でなんとなくでSuchmos敬遠してたんだよ!めちゃくちゃノレるやつじゃねーか!チャラいとかなんだよ!そこまでチャラくねーよ!俺が陰キャすぎるだけだろふざけんな!

 

…まあ、いったん落ち着こう。何はともあれ、知るのはとても遅くなってしまったがSuchmosにはファーストコンタクトでガツンとやられてしまった。売れる理由も、CMソングに抜擢される理由も何となくわかったような気がする。とりあえず私が聴く前に勝手に想像していたSuchmos像とはかなりかけ離れた音楽がそこにはあったのだ。ただオシャレなだけじゃない、彼らの良さはもっと他にあると思う。

 

 

”和製Jamiroquai"は半分正解で半分間違い?

 

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Suchmosはよくメディアなどで”和製Jamiroquai"と形容されることが多い。このJamiroquaiとは、イギリス出身の世界で3500万枚以上のセールスを誇り、アシッドジャズというジャンルを広めた、あまりにも有名なバンドである。ちなみによく勘違いする人がいるが、Jamiroquaiは個人の名前ではなく、バンド名である。ボーカルはジェイソン・ケイだ。

 

聴いてみればわかる通り、確かに似通っている点はあるのかもしれない。いずれもソウルなどのブラックミュージックが含まれているような印象を受けるし、ダンスチューンとして磨き上げられている。ボーカルの雰囲気も似てるっちゃあ似ている。ただ、果たしてめちゃくちゃ似てるのかと言われるとそこは少し異議を唱えたい。個人的な見解としてはJamiroquaiは「完全体」だが、Suchmosに関しては良い意味で粗さが残っている。

 

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Jamiroquaiは、楽曲に様々なジャンルの音楽の要素を詰め込んではいるが、全体として見ればそれは「Jamiroquai」というジャンルになってしまっているほどに完成度が高い。他の追随を許さないレベルだ。その点で、Suchmosは似て非なるものだと言える。

 

Suchmosにも彼ららしさはもちろん存在する。彼らのほうがJamiroquaiよりもヒップホップやファンク、ソウルの要素が強く混ざり合っている決して綺麗に丸く収まりすぎないサウンドを持つ上にバンドサウンドが生々しいのだ。最初に抱いていた印象で「電子音ががっつり~」ということを書いたが、聴いてみると全くそんなことは無い。DJやキーボードもしっかり存在感はあるのだが、ギターやドラムのサウンドからロックの要素を感じ取ることができる。決して電子音だけでただ躍らせようというような単純な戦略ではない。

 

また、彼らの楽曲には所々に日本らしさも散りばめられている。ボーカルYONCEの歌声、歌い方もまた、独特だが日本人離れしているというわけでもない。最近話題にあげたが、フリースタイルダンジョンなどの風潮を意識させるようなノリもうかがえる。そういう意味では親しみやすいオシャレなブラックミュージック、というようなイメージを持てる。

 

 

2017年、さらにブレイクの予感

 

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Suchmosはすでに今年の1月25日に 2nd ALBUM 『THE KIDS』をリリースすることが決定している。先日リードトラックとして「A.G.I.T」のMVがyoutubeに公開された。早速聞いてみたが、この曲決して他の曲と比べてキャッチーとは思えない。しかし、カッティングが心地よくスリムな前半から、後半にかけてサイケ感あふれる壮大な世界観をバンド全体で作り上げていくこの構成はたまらなくカッコいい。聴いている我々を置き去りにするかの如く、彼らは音楽をかき鳴らす。これをリードトラックに据えていることに、Suchmosの挑戦心がうかがえる。

 

おそらく、この曲でも彼らの目測通りリードトラックとして世界に勝負できるだろう。日本からまたもや、とんでもない逸材が育ってきているではないか。ちゃんとこれからは、私もSuchmosから今度こそ目を離さない、いや離せない。

 

 

邦ロック好きが取っつきやすそうな洋楽を考える

 

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日々邦ロックを聴いて盛り上がっている皆さん、あなた方は新たな刺激を求めてはいませんか?決して変な意味で言ってるわけではないです、深読みしないでください。要するに、新しい音楽をもっともっと知りたくないですか?という意味です。最初からそう言えよ!と仰るあなた、その通りです。回りくどくて申し訳ない。

 

探し方として、youtubeで好きなバンドの関連動画として出てくるバンドを見ていく、なんてのも考えられますが、時間と労力がかかる上に、ハズれた時の残念感は少し辛いものですね。しかも、主にそういう流れで聴くのは大抵日本のバンド…。日本の音楽にマンネリ感を抱いてきたあなたたち、たまには洋楽はいかがですか?

 

メロコアなんかを聴けば英詞は聴けますが、それとこれとは別問題。洋楽固有の雰囲気は日本とは違ったクールさを持っています。元はと言えば、日本のバンドの多くは海外のバンドの影響を受けているわけですし、ロックの本場は海外、イギリスです。しかも、バンドの母数は言わずもがな圧倒的に海外の方が多いに決まってますね。

 

 

ということで…

 

今回は最近の邦ロックに耳が慣れてきてしまった人たちへ、小難しくない洋楽を贈ろうのコーナーです。洋楽、と言われると若干煙たがられるのが若者の現状でしょう。できることなら日本で事足りるようにしたい。まあ、それくらい日本にもいい音楽は溢れてますが、やっぱりそれ以上に海の向こうの方が溢れかえってるわけです。その中からわざわざ探すのはめんどくさいでしょう、ということで私が勝手にオススメを押し付けていきます。覚悟しろ!

 

 

All Time Low

 

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アメリカ発のアイドル並みのルックスと人気を誇るメロコアバンド、All Time Lowを選出させてもらった。ほかの候補にyellowcardやFall Out Boyも考えたが、ポップさ、キャッチ―さを考えるとこちらの方が好まれると考えた。さすがにあのGENほどのハイトーンはなかなか見当たらなかったが、このバンドのボーカル、アレックスの透き通るようなイケメンボイス(笑)は聴いていて決して不快にはならないはずだ。むしろかっこいい。

 

アメリカにおいても未だに若者には絶大な人気を誇るバンド。この点ではフォーリミやブルエンなどと類似しているとわかる。やはり、若者が単純にカッコいい音楽が最初に求めるのは世界どこでも同じなんだろう。

 

エモさは少し控えめなものの、ポップパンクとしては王道でありトップレベルのクオリティである。メロディも耳に残るような爽快感。しかも、ルックスもいいときている。GENからアレックスに乗り換えるのも、アリかもよ。

 

 

Dinosaur Pile-Up

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2007年にイギリスで結成された3ピースバンド。2014年、15年連続でサマソニにも出演し、急成長を遂げているバンドだ。このバンドの雰囲気はどこかニルヴァーナを彷彿とさせる。これは最初正直取っつきにくい方なのかな?とも思ったけど、あえて推薦した。

 

なぜなら、ボーカルのマットが歌うこの爽やかで懐かしいメロディの裏で鳴るシンプルでパワフルなビートがかっこよすぎるから。それこそ、バースデイフラッドなんかを聴くような骨太ロッカーはまだまだ日本にも多くいるはずだし、ストレートなロックを嫌う輩は少ないはずだ。また、最近の曲ではゴリゴリのメタルみたいなサウンドを出しつつもグランジの雰囲気を損なわない曲を作ってるもんだから、おじさん大好き。

 

しかもこの風貌、いかにも海外のバンドマンって感じである。てかカート・コバーンの亡霊が10%くらい乗り移ってそう。彼女はたぶん3人いる。意外とお酒が弱い。全部俺の想像です、忘れてください。

 

 

Michelle Branch

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ここで女性枠。最近はあまり活動していないようだが、この曲はもしかしたら聴いたことある人が多いかもしれない。デビューシングルのこの曲「Everywhere」が全米で大ヒットし、2000年代初期の女性アーティストの中心人物だったのがこのミッシェルブランチだ。当時18歳ながらも大人っぽい雰囲気に加え、切なくも勇気づけられるような歌詞が女性を中心に人気を集めた。

 

この「Everywhere」は紛れもなく彼女の代表曲なわけだが、展開もメロディーセンスも歌詞も、どれをとっても一級品である。サビでの弾けるような強い歌声、ラスサビにかけての切ない雰囲気、一つの歌に様々な側面を持つ。聴いていて飽きない1曲だ。

 

彼女の歌声はなかなか独特で、少しクセがあると言ってもいい。ただ、歌い方の強弱や緩急が上手く、それだけで感情を表現しているかのように聞こえるのだ。日本にもシンガーソングライターで活躍する女性アーティストは多くいるが、日本人にはあまりないような力強さと儚さを持ち合わせ、叙情的かつ胸に刺さるようなリリックを描くアーティストであるのは確かである。しかも、18歳で。ポップナンバーからバラードまで、外れがないのはミッシェルブランチだろう(「All You Wanted」も名曲、ぜひご一聴あれ)。

 

 

Vintage Trouble

 

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ファンキーソウルフルで、ブルージーなロックバンド。それぞれの分野なら日本にも一流のバンドはいるだろう、しかし、すべてにおいて高水準なバンドが存在するだろうか。いるんだな、これが。2010年にアメリカ、それもハリウッドで結成された4人組、ヴィンテージトラブルだ。R&Bシンガーの経歴があるボーカル、タイ・テイラーを中心に時に熱く、時に静かなサウンドを使いこなすハイブリッドロックバンドである。

 

まさに「ソウル」と形容できるような、全身全霊で歌にすべてを込めるボーカルを、頑強な屋台骨である演奏陣が支える。時にブルースの危険な香りを漂わせながらも、最後には爆発力のあるストレートでエッジの効いたロックンロールサウンドを期待通り、いや期待以上にかましてくれる最高にノッてる奴らなのだ。

 

これは取っつきやすいかどうかというより、聴いて心を鷲掴みにされて欲しいのだ。申し訳ないが、彼らのパワーは日本のロックバンドでは敵わないレベルのそれだ。邦ロックに物足りなくなった時に、ヴィンテージトラブルを聴いてしまったが最後、しばらく洋楽から抜け出せなくなること必至。

 

 

 

色々なジャンルを攻めてみた

 

今回はメロコアパンク、ロック、ポップ、ファンクと様々な切り口で洋楽のバンドを紹介しました。なんかこじつけで日本の音楽とつなげようとしたところも幾つかあるけどそれは気にしないでくれ、気のせいだ!

 

こうやって、少しずつ皆さんも洋楽に興味を持っていただければなと思います。私ももっと勉強せねばと反省しております。奥が深いぞ、洋ロック!!(邦ロックの反対的な)

 

「おんがくよ、人を生かせ」 リーガルリリーは何を歌うのか

 

 

去年からずっと気になっているバンドがあった。そのバンドは、私が大好きなバンドのライブを新宿に見に行ったとき、オープニングアクトで登場した時に初めてその名を知った。ステージに出てきたのは、自分よりおそらく歳の低い女の子3人。見た目からしてもまだまだあか抜けない彼女たちはゆっくりと楽器を手にし、「リーガルリリーです、よろしくお願いします」と言って、演奏を始めた。

 

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リーガルリリーというバンドについて

 

今回紹介するバンド「リーガルリリー」は都内を中心に活動する3ピースガールズバンドである。上記の画像で左からBa.白石はるか、Gt.&Vo.たかはしほのか、Dr.ゆきやまという構成になっている。平均年齢は18歳。現役の女子高生が在籍(白石はるか)しているというとってもみずみずしいバンドである。表現が気持ち悪いことに関しては許していただきたい。

 

彼女らは、TOKYO FM SCHOOL OF LOCK!主催『未確認フェスティバル2015』において準グランプリを獲得している。この未確認フェスティバルというのは、10代限定のロックバンドコンテストのようなもので、2014年まで開催され多くの人気バンドを輩出した「閃光ライオット」の後釜となる企画である。ちなみに、グランプリは2015年にShout it Out、2016年にはYAJICO GIRLが獲得している。

 

2016年には複数のバンドによるカナダでのツアーに参加。その若さとは裏腹に、多くの経験値を稼いできたバンドである。ちなみに去年の10月に1st mini album『the Post』をなんと自主レーベルから発売。つい最近にはテレビで今年期待のバンドとして取り上げられるなど、自分よりも年下の彼女たちだが、その活動には目を見張るものがある。

 

 

リッケンバッカー」の衝撃

 

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先ほど話していた、彼女たちのライブを始めて見た時の話に戻そう。何曲目にやったかは忘れたのだが、リッケンバッカーという曲を演奏し始めた時から、私は彼女たちの音楽に引き込まれていった感覚がした。その時のライブで、ギターに機材トラブルがあり一旦演奏が中断されたこともあって、途中ぐだぐだにもなっていたのだが、この曲だけは妙に印象に残っている。

 

めちゃくちゃバカテクだったというわけでもない。とんでもなく歌が上手かったわけでもない。ただ、この曲のメロディと歌詞はどうしても頭から簡単には離れなかった。曲調としてはシンプルなのだが、たかはしほのかのエモーショナルなギターのサウンドに、少し不安定ではあったが曲の迫力を前面に押し出すリズム隊。曲の後半でテンポが上がるあたりからボーカルの勢いもぐっと増し、演奏もさらに激しくなる。

 

曲が終わるまではあっという間だったが、その4分足らずに10代とは思えない独特の雰囲気とサウンドに完全に心を持っていかれた。ライブが終わった後、気付いたら物販でシングルを買っていた。

 

 

10代で思いついたとは思えなかった歌詞

 

容姿だけで言えば、あんなに可愛らしい女の子たちなわけだが、その演奏には度肝を抜かれ、そしてあまり無いことなのだが個人的にはその歌詞インパクトを大きく残された。「おんがく」に翻弄される人間の人生を描いたような印象を持ったのだが、それにしても言葉のセンスがサブカルチックなところ、想像力を掻き立てるような歌詞のストーリー性が私の好みなのだ。

 

きみはおんがくを中途半端にやめた。
きみはおんがくを中途半端に食べ残す。

リッケンバッカーが歌う
リッケンバッカーが響く
リッケンバッカーも泣く
おんがくも人をころす

 

(引用元:リッケンバッカー/リーガルリリー)

 

「おんがくも人をころす」は初めて聴いた時には、この言葉のセンスに嫉妬を覚えた。というか、10代でこんな歌詞書く女の子がいる現状に驚愕した。音楽をやっていない人からしたらあまりピンと来ないかもしれない。ただ、少しでも音楽に関わっていた(特にバンド)人なら感じることはあるんじゃないかと思われる。私もそこまで深く音楽に携わってはいないが、あまりにもリアリティがあって、妄想が膨らむくらいにはこの言葉に翻弄されている。

 

きみはまいにちを中途半端にやめた。
きみはまいにちを中途半端に食べ残す。

明日に続く道が今日で終わるなら
このまま夜は起きない。きみを起こす人も消えて
重ねたエゴの形が燃え尽きて星になるのさ。

 

(引用元:リッケンバッカー/リーガルリリー)

 

 

人生はそう簡単に行くものではない。20を過ぎたばかりの若造だが、私も少しずつこの世の不条理を経験して、絶望することも少なくはない。この無機質に続いていく日々はいつしか終わるものではある、有限だ。ただ、どこで終止符を打つかによって人の人生はどう評価されるかが大きく変わる。死んでしまえば、残るのは冷たくなった体だけ、あとは何も残らない。そのうち、その体も、なにもかも燃えて尽きてしまうのだろう。

 

 

自ら人生を中途半端に終わらせるのはとても簡単なことだ。だが、それは自分という存在を否定しつつ消えていくことになる。それは、この世に生まれた意味を無下にしているに等しい。

 

そんなの、バカみたいじゃないか。一生懸命、這いつくばってダサく生きるのを笑う奴なんか気にするな。生きている理由がなんだっていい、例えばそれが音楽なら、必死にしがみつけ。笑う声に耳を貸すな、諦めずにがむしゃらにやることで「生」にしがみつけ。一度あなたの心を虜にしたその「おんがく」には、あなたを生かす力がある。それを信じて、どこかでまたリーガルリリーは歌うのだろう。「おんがくよ、人を生かせ」。

 

 

リッケンバッカーが歌う
リッケンバッカーが響く
リッケンバッカーも泣く
おんがくよ、人を生かせ

 

(引用元:リッケンバッカー/リーガルリリー)

 

 

 

 

 

 

ようやく時代がAlaska Jamに追いつきそう

 

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ブログを始めたての頃に、Alaska Jamについての記事は一度書いている。

 

hyena-ongaku.hatenablog.com

 

 

その頃から「そろそろ売れないかなー」とか「もっと有名になってもいいのになー」と思い続けていたわけだが、12月7日にリリースされた3rd mini album『BE YOUNG! BE HAPPY!』のリードトラックを聴いて確信した。これでやっと、彼らは第一線に躍り出られると。

 

Alaska Jamと口迫歌合戦

 

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2016年大晦日、NHK紅白歌合戦の裏で、その名をもじった「口迫歌合戦」というフリースタイルダンジョン(即興ラップバトルの番組)が行われていた。この番組は若い世代から大きな反響を呼んでおり、今や高校生なんかが電車の中でフリースタイルダンジョンの話題を話していることを私も見かけたことがある。

 

正直この界隈は少し怖いのが本音だ。暴力的なワードやいかつい風貌、陰キャの俺には近寄れないコンテンツで溢れかえっている。だが、実際に動画などで見てみると確かに惹きこまれていってしまう。ラッパーたちの巧みなワードセンスや、リズムに乗って即興で韻を踏む才能には思わず声が漏れてしまう。

 

しかも、この番組はやはりテレビということもあってかヤバすぎる言葉を規制したり入れ墨を隠させたりと一般大衆向けに広く楽しんでもらえるような工夫がなされている。道理で、もともとはコアだったカルチャーが少しずつ世に浸透し始めてきているわけである。

 

 

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話を戻そう。今のフリースタイルダンジョンの話がAlaska Jamに一体何の関係があるのか?別に直接的な関係があるわけではないのだが、単に彼らの楽曲を聴いてもらえればわかる通り、ボーカル森の歌い方は基本的にヒップホップ感満載のラップ調である。これはロックバンドとしては少し若者からしたらとっつきにくいジャンルだったのかなと私は推測する。

 

例に出すとすれば、Alaska Jamのギタリスト小野武正が所属しているKEYTALKは同じように四つ打ちのビートは多いものの、曲調はロック・ポップス感が軸だ。彼らの界隈のバンドのメロディは従来のJ-POPのようにキャッチ―なものが多いから、幅広い世代にウケているわけである。

 

対して、Alaska Jamが果たして一般大衆向けなのかと言われると素直に「ハイ」とは言えない。もちろん個人的には好きだし、ダンサンブルでポップさもあり、いつ売れるのかとずっと思っていたわけだが、やはりヒップホップとロックの融合にはまだ少し頭が追い付いていない人もいたと思うのだ。単純なパワーコードのロックのほうが確かにわかりやすいだろうし、単純にノリやすいかどうかを重視する人たちが一定数いるのも確かだ。まあ、その一定数が今の時代の音楽を支えているわけなんだろう。

 

 

ヒップホップの台頭が好影響

 

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しかし、先ほど説明したフリースタイルダンジョンを代表としたヒップホップ勢が台頭してきたことによって、ラップへの親近感も最近はぐっと増している。年末の「口迫歌合戦」も大きな要因の一つだ。

 

新曲「東京アンダーグラウンド」もサビこそキャッチ―でポップで、その他は演奏陣はバリバリのロックだがやはりボーカルはマシンガンのようにリリックをラップ調でぶちまけている。この融合の良さが、じわじわと伝わり始めると私は考える。

 

 

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そして彼らの持ち味である、オシャレなメロディも忘れてはいけない。個人的にはこういったメロディのほうがボーカル森のラップも光ると思う。加えて、やはりこのAlaska Jamではギターが気持ちいいくらいに弾き倒しているのが魅力だ。基本的なオシャレであったりロックンロールなビートの中に突然個性全開のギターリフが入ってくるところがまた心地いいのである。

 

新譜『BE YOUNG! BE HAPPY!』は全国で好評発売中である。ぜひ多くの方に聴いてもらいたい1枚になっているに違いない。あと、この前の記事でも言ったが、彼らのライブパフォーマンスは多方面からも大絶賛の嵐なので新曲もライブで見てみたいものである。それでは、このへんで。

 

 

 

 

バンド自体は好きだけど、ファンの所為で好きになれないバンドがある

 

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私はこのブログに初めて投稿した記事で、最近のライブハウスにいる客の一部のマナー・モラルが欠如していることについて少し話した覚えがある。それについての延長線上の話だと思っていただければ飲み込みやすいと思う。

 

聴いた話・見た話

 

私の友人が、某バンドのライブに行った際に私にこんな感想を言ってきたことがあった。

 

「なんか、もうあれはライブじゃなかった」

 

彼のこの言葉の真意をくみ取れた気がしたのは、そのバンドのライブを後日たまたまサーキットフェスで見た時のことだった。私はそのバンドの曲は知っていたし、見ようかなとは思っていたが、どうも友人の言葉が頭に引っかかってしまい怖気づいてしまっていた。ただ、折角来たんだから見に行こうと決心しフロアのだいぶ後方でライブを見守ることにした。

 

もうね、メンバーが入場してくる時からわかった。これはロックバンドじゃない、アイドルだ。明らかに黄色い声援が場内を飛び交う。女子ファンが多いことは良くあることだが、どうも毛色が違う。ジャニーズとかと同じ括りにしていいヤツだ。曲が始まったと思ったらフロアは確かに大盛り上がり、メロコア系のバンドなだけあってツーステやスカダン、サークルモッシュ、ダイブなどが頻繁に行われていた(単語の意味が分からない人はググってみよう!個々について書くのがめんどかっただけです御免)。

 

ただ、ここで私は後方から冷静にステージとフロアを俯瞰していて気付いたことがあった。もちろん、バンドは客に向かって、フロアに向かって精いっぱい音を鳴らし声を張り上げていた。だが、肝心の客の一部(と言っても結構な数)が、バンドを見ていない。やたらサークルを作って客同士ばかり見合っている。決められた場面でクラップをして、決められた場面でサークルを作り、決められた場面で踊りだす。マイナーな曲には特に反応なし。曲が終わったら客同士でハイタッチ。

 

これどうなのよ?と思ってしまったのが本音だった。これじゃあ、このバンドのファンの多くはライブハウスという遊び場に来て友達と遊んでるようにしか見えなかった。ツーステをしている自分に酔っている、リフトされてる自分に酔っている、サークル作ってる俺らマジバイブス高め。みたいな。リフトされて下にいる俺たち煽るのはいいけど、お前のせいでステージなんも見えねえよ!!

 

もちろんバンドとしてお客さんにライブを楽しんでほしいという気持ちはあるだろう、だが、その楽しみ方はどうなんだ?友達と会えて終演後にみんなでハイ、チーズやるのが目的なのか?snowはそんなに楽しいか?これじゃあもう、友人の言う通りあの場はライブじゃなくただのオフ会みたいだった。

 

なんでライブハウスに行くのか

 

だいぶ暴言みたいになってしまったが、とりあえずライブにぼっちで行くことが多かった身としては、ライブハウスでたむろする彼らに若干の嫉妬と大量の嫌悪感を抱いていたのは事実だ。この私の意見は、当の盛り上がってる彼らにとっては「俺らのグループに入れないボッチ乙www負け犬の遠吠えwww」てな感じなんだろうが、正直私以外にも迷惑している人はたくさんいるはずである。君たちだけのライブハウスではない。というか主役は君たちじゃないし、俺らは君たちを見に来たわけじゃないんだ。

 

私だってライブに行って、テンションが上がって激しいモッシュピットにもやし体型なのにも関わらず突っ込むことだってある。楽しみ方は人それぞれあるだろう。ライブハウスという場所はいろんな人間が集まる場所だ。同じバンドを見に来た同士だからとはいえ、バンドに対する思いはそれぞれ違うだろう。その熱量が高すぎて、周りが見えなくなるケースもある。

 

バンドの音楽が好きすぎて、テンションが抑えられなくて、盛り上がりすぎた結果周りに迷惑をかけてしまう。そういう事例なら百歩譲ってわかる。正直譲らなくてもわかる。でも、これは私の一個人としての憶測だが、最近のライブハウスで盛り上がってる連中は純粋に音楽が好きってわけじゃない気がするんだ。音楽を理由に集まってることが好きな気がするんだ。だとしたら、なんか私は納得できない。なぜなら、そこで鳴る音楽を理由にライブハウスに行くべきだと思うから。音楽が大好きで、CDの音源じゃ物足りなくて、生で演奏を観たくて…、そう思って私は初めてバンドのライブに足を運んだことを、未だに覚えている。だって、盛り上がるのが理由じゃ、パリピの集まりと一緒じゃんか…あれ、確かにそう見えてしまってるなあ。

 

 

ひねくれ者、苦労する

 

一人でライブに行き過ぎて、ライブを見に行く際に団体行動をとることがほぼ不可能になりかけている私は、そんなこんなで見に行きたいバンドがあっても雰囲気が苦手とかファンが苦手っていう理由でライブに行くのを敬遠することが増えた。さっきから予防線を張るように、「これは私個人の意見」って言ってるけど、ツイッターとか見る限りおそらく同じ思いの人はいるはず…はず。だからどうってわけじゃないから、結論は出ないんだけど。

 

気にしなければいい話なんだろうけど、どうも最近は無視できないくらいにパリピ達の勢力は増している気がする。正直マジでウザいし、怖い。だから私は、自分の性に合ったバンドのライブにしか行かないんですけどね。敬遠してるバンドの新曲が良かったりすると、少し悔しいんです。情けねえな、俺。

 

ということで、陰キャの戯言でした。ドロン!